森の中で
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ラタルが笑ってくれて本当に嬉しい
なんて綺麗な笑顔なのかしら……
女性なのに凜と強くて、芯があって
美しいのにかっこい
王女の私なんかよりずっと高貴で気高さを感じる
……変ね
女同士なのに
なんだか胸がドキドキする
いくら男性が嫌いだからって……笑い話ね、女の子になんて
――みんなにはとても言えない―――
「さて、あれも取りに行かねばな」
「え?あ……」
不意に立ち上がったラタルの視線の先には、池の真ん中に浮いている母の形見のストール。
「待っていろ。今度は来るなよ」
そう言ってラタルは広く深い池に足を入れた。
「ラタル!泳げるの?」
「当然だ」
ラタルはまたしても楽々とストールに辿り着き、間もなく折り返して帰って来た。
「は、早いのね……」
感心しながら呆けた表情を浮かべているルル。
差し出されたストールを受け取り、岸に上がろうとしていたラタルに手を差し延べた。
しかしその手はラタルと繋がった瞬間強く引っ張られ、引き上げるどころか自分も高い水しぶきを上げて池に落ちてしまった。
「わっぷ、いや、私、泳げないのっ……」
バタバタと足掻くルルを掴まえて、ラタルはまた笑った。
「あはははっ!南国の王女が聞いて呆れるな!」
ガッシリと首に巻き付いてくるルルに力を抜くよう促す。
「ゲホッ!酷いわ、ラタル!今まで私にこんな仕打ちをした者はいないわよ!」
「じゃあ私が初めてだな!友達なんてこんなものだぞ」
「そ、そうなの?友達って時に怖いものなのね……」
「あはははっ!」
自分の膨れた顔にすら、今日のラタルは笑ってくれる。
濡れた髪から雫が滴り、ラタルの頬から顎を伝う。
間近に見る睫毛もキラキラと光っていて……
ルルがラタルに魅入っていると、ラタルも視線に気付いて真顔で見つめ返して来た。
………ドキン
また胸が高鳴る。
なんなの!?
ラタルは女の子よ!?
確かに男性は苦手…
多分、男性に対しては恋だって一生できない!
でも、だからって女の子!?
嫌よ、冗談はやめて!!
ルルは真剣に自分の趣向を疑った。
必死に否定する心は相反してラタルにときめく。
「ルル………」
呟くように名前を呼ぶラタルの低い声。
ルルの頬に貼りついた髪を指でそっと除ける。
「ラタル……」
「ルル……ルルはやはり……男は嫌いか?」
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