鼓動
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そう、ここに残るという事は
元の世界へは永遠に戻らないという事
すなわち死を意味するのだ。
「ラタル……何を……何を言い出すの……」
「ここに来る前から、そうしたいと思っていた。そしてお前に会った今……決意が固まったんだ」
クロロのくれた言葉が、胸の遠くをチクリと刺した。
らしくない心の篭った真剣な声で、帰って来いと言ってくれた。
……すまない、クロロ
背中に残してきた何を思いだしても、今、俺はルルと行きたい
「駄目……絶対駄目よ、ラタル!貴方がそんな決意を固める為に私は出てきたんじゃない!
私はただ、貴方に……」
「もう何も言うな」
必死の思いを、一言で遮るラタル。
離れたルルをもう一度引き寄せる為に一歩寄るが、手を差し延べた瞬間、それを避けるようにルルは後退った。
「……絶対だめ……ふざけないで、ラタル!貴方には忘れ物がたくさんあるでしょう!?」
「わかってもらえなくても構わない。お前に何を言われても考えを変えるつもりはない」
「リンは!?お父様は!?ダリアは!!みんな貴方を」
「もう楽にさせてくれっ!!」
擦り切れて血が出そうな程の叫びが、何度も何度も森の中にこだまして消えた。
ハァッと一度肩で息をした後、ラタルは深く俯いた。
「……もう……楽になってもいいだろう……?
5年間、毎日毎日お前を失ったあの日を嘆きながら……贖罪の方法を探していた。そんなもの、あるはずないのに。
逃げたかった。気が狂いそうだった。
……だがお前を前にして今、そんな鉛のような苦しみが魔法のように消えたんだ」
俯いて表情の見えないラタルの足元に、ポタッと雫が落ちた。
「ラタル…」
「お前の傍にいさせてくれ……ダリアではなく、お前の傍に!」
「……!」
ルルはハッと口を両手で抑えた。
"ダリアではなく"
ずっとずっと、ラタルはダリアを好きだった。
なのに私が現れて、二人の道は途絶えた。
そして今も、こんなに彼を苦しめている。
好きだから、愛してるから
そんな正当な理由を掲げて勝手に命を捧げた私が……
私のした事が、ラタルに"死にたい"と思う程の苦しみを与えている!
"ダリアではなく"
そんな言葉を、言わせてしまった……
・