鼓動
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トクン
トクン
トクン
ルルのリズムで、優しく跳ねて
その温もりや鼓動を感じるのに精一杯。
紛れもなく幸せなこの時間は、15分という制限付きであるのだと、頭の片隅では判っていた。
しかし、焦る事はなかった。
……決めて、いたから……
「……ずっと、お前に謝りたかった」
その耳元に囁くと、ルルは小さく首を横に振った。
「私が謝らなきゃ…私は私の勝手で……ラタルを孤独に追い詰めた」
「お前は何ひとつ悪くない。望んだ結果では決してないが、お前が俺の命を今でも長らえてくれたんだ。
ただ……お前がいない事が……」
何より辛かった
その言葉を告げる事は、してはならないと思った。
辛かった
それは事実であり、この5年という月日の中でルルを恨んだ日も多々あった。
それでも、生きてきた。
泣いても喚いても
死にたくなっても生きてきた。
それはルルの命を背負ったのだと自分に言い聞かせていたから。
「ラタル……時間、過ぎてく……」
「ああ……」
「でも私、ラタルに何を伝えていいかわからない……何を言って、救えばいいのか」
「何も」
「愛してる……私は幸せ。ねぇラタル、私……ラタルと出会って不幸な日なんて一日も」
「もういいんだ」
ラタルはゆっくりとルルの体を放し、ルルの目を見つめた。
それは優しい眼差しで。
全てを悟ったような、覚悟の瞳で――――
そしてやんわりと微笑むと、静かに口を開いた。
「俺は、ここに残る」
「え……?」
一瞬、その言葉の意味を探した。
しかし、考えるまでもなくすぐに答えに辿りつき、ルルは思わずラタルの腕を振り払った。
「な……何を……どういう意味!?」
わかっていたが、敢えて尋ねた。
まさか、ラタルが
そんな事を言うはず……
「……そのままの意味だ。俺はここに残る。
帰るつもりはない」
ラタルの口からハッキリと、やはり予想通りの答えが出た。
「何……何言ってるのよ!帰らないって……帰らないって事は!!」
「わかっている」
わかっている。
そうだろう、彼はとても頭が良いのだから
こんな簡単な事、わかっていないはずがない。
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