霧の向こう
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出会いは本当に、運命なんてロマンチックな言葉なんか似つかわしくないもので
メンチに無理矢理詰められた胸のパッドが煩わしくて
王もネテロ会長も、父さんの事すら恨みながら
ただ抗う術がないという理由だけで、彼女を守る事を誓った
シャラシャラと輝かしい宝石達を身に纏い、「私を護りなさい」と言った君の姿は
今思えば紛れもなく高貴な王女様だった
城で過ごした時間の殆どを苦痛と感じながら居た事を、今ではとても勿体なかったと思ってる
生きて出会えただけで
今なら運命に感謝できるのに
「そしてルルの父親である王の許可も下り、うちに来る事になったんだ」
悲しい話など何ひとつない、普通に思い出を語っているだけなのに、ナーリンは聞きながらボロボロと涙を零していた。
「来る日も来る日もルルは俺の為だけに存在してた。
仕事中、俺を庇って大怪我をした事もあった。
それなのに俺と恋人の仲を本気で心配して、背中を押してくれたりもした」
そう、そして俺の傍で生きる為だけに念を習得して
……ああ、ネテロ会長がどんな裏技を使ったのか
聞き出しておけばよかったな
「ただの一人の王女だったルルが、そうしてハンターになったんだ。
行動の全てが俺の為で……最期まで俺だけの為にあった」
「ルルちゃん……」
ダムが決壊したかのように号泣するナーリンを、支えるように肩を抱くシーク。
「やっと……やっとラタルくんと気持ち……通じたばっかだったんだ……なのに……」
言いながら、座る膝にまで顔を伏せて
ナーリンはまるで打ちのめされたようにうずくまった。
「ナーリン、俺は泣かせたくてこんな話をした訳じゃない。ただ、知っていて欲しかっただけだ。
きっとルルが生きていたなら、君に沢山の話をしただろうから」
ラタルの言葉に、ナーリンは何度も頷いた。
同じ女性であり、同じように愛する人がいるナーリンには、ルルの気持ちが痛い程にわかるのだろう。
ラタルはまた慰むようにナーリンの頭を撫でた。
< 間もなくー、サウィリアーニャの森、サウィリアーニャの森でございます >
その時、車内放送で運転手が目的地への到着を告げた。
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