森の中で
夢小説設定
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「仕方ないな…」
ラタルは袖が邪魔になる羽織りを脱ぎ、何の取っ掛かりもない木に足を掛けた。
「えっ…何をするつもり!?」
「登って取るに決まっている」
「あ、危ないわよ!」
「こんな事、なんともない」
話す間もスルスルと軽快に登っていくラタル。
10秒かからずに簡単に枝先のストールへと辿り着いた。
「すごいわ、ラタル!」
感動して拍手するルル。
そして続いて自分も木にしがみつき、足を引っ掛けた。
「!?ばっ……無理だ!」
「あら、体力なら自信あるのよ!護身術やスポーツも昔から習っているのだから!」
「初めてなんだろう!?私もすぐに降りるから来るな!」
「嫌よ、私も登る!決めた!」
うんしょ、よいしょ、
見ればなかなかの動きで既に半分まで登ってきている。
仕方がないのでラタルはルルへと目一杯に手を延ばす。
「来い」
「んっ………しょ!」
ルルが片手を木から離しラタルへ委ねようとした途端、枝に掛けていた足を踏み外した。
「っきゃああっ!!」
「ルル!!」
咄嗟にラタルも追って木から身を投げる。
そしてルルの腕を掴んで引き寄せ、自分の胸に掻き抱いた。
そのまま空で半回転すると、無事に地面へと着地。
ストールは池の真ん中にヒラリと舞って浮かんだ。
「……ふぅ……やると思った。大丈夫か?」
自分の腕の中のルルを見ると、まだギュッと胸にしがみついている。
「やれやれ…だな」
静かに頭を撫でてやると、やっと落ち着いたのか、ゆっくりと顔を上げた。
「……ごめんなさい……私……ラタルこそ大丈夫……?」
涙目で青ざめた顔。
彼女らしくない、震えた声。
ラタルは可笑しくなってプッと吹き出した。
「ぷはははっ!らしくないな!ルルでもそんな顔ができるのか!」
「え?何……」
ルルは戸惑いながらラタルを見上げていたが、初めて自分に見せてくれた笑顔が嬉しくて、自然と自分の顔も綻んだ。
「ぷ、可愛い…あははっ、ちょっと可愛いな!」
「あはははっ!ラタルこそかっこよすぎよ!
神業じゃない!あははははっ!」
二人は互いを指さしながら、お腹を抱えて笑った。
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