待ち焦がれ……
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「は……はぁっ……はぁっ……」
休む事なく体を動かし続けた。
止まると心が爆発しそうだった。
動いて、動いて、動いて
漸く、朝日に染まってゆく薄紫の雲に出会えた。
長い長い夜だった。
永遠に明けないかも知れないと錯覚する程に長かった。
少しずつ海も青く輝いて
向かう先に
陸地があるのが見えた。
「ルル――――」
朝が来た
ようやく
5年間という、長い夜が今明ける気がする
捜し続けた、君の元へ今―――――
「今、会いに行く。ルル………」
気付けば、シークとナーリン……それにクロロも
甲板に出て朝色に染まっていた。
潮風が優しい。
見えているあの陸までが、もどかしい位に遠く感じる。
「クロロ……あの森を作ったのはジンなんだ」
「ああ」
冷静な反応。
どうやら知っていたらしい。
「なら確実だろう?俺はルルに会える」
「そうだな」
予想外のあっさりした肯定の言葉。
振り返ると、クロロの穏やかな微笑みがそこにあった。
「よかったな、ラタル」
温かく優しい声で、クロロはそう言った。
ラタルの心に、言葉にならない思いが溢れ出す。
「……ありがとう、クロロ……感謝してる……」
何を言ったって、とても伝えきれない。
どれだけ救われたかわからない。
この5年間、クロロがいなければ決して乗り越えられなかった。
何も聞かず、言わず、押し付ける事もせず
ただ隣にあった。
その事が何より救いだった。
それはクロロじゃなければ、駄目だったんだ。
もしサウィリアーニャの森でルルに会えたなら
そこがこの旅のゴールになるかも知れない。
終着駅かも知れない。
何となく、そう感じた。
船は風を切り、海を裂いて進んでゆく。
赤い大地が近づいてくる。
小さな町並みに、出迎えの人々の手を振る姿。
今行く
今、会いに行くから
「なぁ?ルル……」
迷わずそこで待っていて。
~続く~