待ち焦がれ……
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ラタルは風に当たってくると言って、席を立ちレストランを出た。
何も言わずに見送るシークとナーリン。
甲板へ出ると、真っ黒な海が果てしなく続いていて、まるで別の世界へと引きずり込んでいきそうな闇一面。
とにかく、この長い夜が早く明けて欲しいと、それだけを願った。
朝になればサバリに着く。
まだ夜は始まったばかり。
朝までが余りに長すぎて、逸る心が手に負えない。
今夜は絶対に眠れない、これは確信だった。
ルルに会える………
信じられない
写真一枚この手には残らず
もう記憶の中で漠然としたシルエットが焼き付いているだけだった
声だけがしっかりと刻まれて
たまに呼ばれるように鮮明なルルの笑顔が思いだされたり
でも確実に遠退いて、薄らいで………
「早く……会いたい……ルル……!」
どうしたらいい?
会えるとわかったら、心が騒いで騒いで抑えられない!!
どうやって夜をやり過ごしたらいいのかわからない!!
震えてしまいそうだ……!!
―――そのまま、ラタルがレストランに戻ってくる事はなかった。
シークとナーリンが食事を終え、レストランを出ると
下の甲板で一心不乱に念の銛を振るラタルの姿があった。
何かを発散させるように
また、何かを打ち払うように。
「……切ないね……」
そうポツリと呟いたナーリンの頬には、一筋の涙。
「……会えるといいな」
「会えるよね?きっとさ……」
互いの存在を確かめるように、いつの間にか繋がれた手。
生きているからこその温もりを噛み締める。
独りきり、夜と闘うラタルを、シークとナーリンは静かに見守っていた。
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