待ち焦がれ……
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サウィリアーニャの森――――
数年前、サバリ国から一人のハンターに買い取られた小さな森だ。
その森では、死んだ人間ともう一度会えるのだという。
その代わり、死んだ相手が自分に会いたいと望んでいなければいけない。
会える時間は15分。
森から出る時はひとつの一本道を選び、絶対に振り返ってはいけない。
もし振り返ってしまったら、二度と森から出られずに幻に憑り殺されてしまう――――――
「そ……それで、念?」
「念じゃなければ死者に会うなど、どう説明をつけるんだ?」
……確かに……
念を遣えば、できるかも知れない
しかし……
「そんなルールをつけるなんて、随分ロマンチストだな……」
「神話のようでなかなか面白いだろう?」
いつもより抑揚を持った声で言いながら、クロロは口角を上げた。
「……本当だと思うか?」
「さぁな」
恐らくクロロは真実だと思っている。
だから行動に移した。
教えてくれた人間が余程信用できる相手だったに違いない。
何も言わず、クロロはラタルに自分のグラスを差し出す。
ラタルもまた何も言わず、グラスを受け取り一口飲んだ。
ルルの瞳にも似た、赤のワイン。
「ラタル」
「ん?」
「会ってどうする?」
グラス越し、ワインに沈むクロロが揺れている。
「会って……」
会って―――
言い訳を
謝罪を
責めて、問い詰めて、「ごめん」と「愛してる」を
そして、もう二度と―――――
「ラタル……憑りつく幻が彼女とは限らない。地獄のような幻かも知れない。
だから死に急ぐな。
絶対にリンを泣かせるな」
真紅に揺れる
揺れるクロロが、真剣な眼差しでこちらを見つめている。
「……結局真実だと思ってるんだな」
「さぁな」
素っ気なく言い放ち、ラタルの手からグラスを取り上げると、クロロは残りのワインを一気に飲み干した。
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