虹と海――再会へ
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背後に迫る気配は二人。
どうやら隠れる気はないらしい。
敵意も感じない。
躊躇いのない足取りが、後方3メートル程で止まった。
ラタルは潮風を全身に浴び、気持ち良さそうに目を閉じた。
肩の下まで伸びた髪が、首元でそよいでくすぐったい。
「さて、と」
見当もつかないが、恐らく知り合いなのだろう。
ゆっくりと目を開け、ラタルは振り向いた。
目の前にいたのは
懐かしい顔触れ
予想外の人物だった。
見るからに賑やかそうだった面影が、驚く程に大人びて落ち着いていた。
隣に並ぶ女性も、当時は結い上げた長い髪が似合っていたのに
肩の上で短く切り揃えられ、別人のようだ。
ラタルの頭の中に、一瞬あの日の事が全て走馬灯のように駆け巡った。
忘れもしない、人生最悪の日。
「……また……どちら様とか言うなよな……」
涙を堪えるような声で、男が言った。
「……言わないさ。忘れる訳ないだろ?」
きっと、ずっと気にしていた
何も救いの言葉など掛けてやれないまま、俺だけ身勝手に消えたから
ずっと探していたんだろうか
やつれてしまったな
すまなかったな
今、楽にしてやれる―――
「お前達は何ひとつ悪くない。
シーク……ナーリン」
「ラ……タル……」
堪え切れず、シークの瞳から堰を切ったように涙が溢れ出す。
隣で支えるナーリンの頬にも、幾筋もの涙が伝っていた。
「やっと……会えた!ラタル……ごめん……ごめんな、ラタル……!!」
「私のせいだった!私のせいで……ラタルくん、本当に……本当にごめんなさい!!」
泣いて謝り続ける二人を、ラタルはその胸に優しく抱きしめた。
「何も悪くない。お前達はルルの数少ない友達だったんだ。
ありがとう……シーク、ナーリン」
ありがとう
ずっとルルを想っていてくれた………
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