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「ラタル……よね……?」
その愛しい声に立ち止まり、振り返る。
「ル―――!」
……そこにいたのは灰色の長い髪を靡かせた
ルルによく似た、姉の王女だった。
「まぁ…見違えた。以前より逞しくなったわね」
「ラーナ……王女……」
ルルじゃ……なかった……
ラタルは愕然とその場に崩れた。
気付けば、霊安室の真ん前だった。
「……お別れに来てくれたのね。入って」
泣き腫らした顔で優しく微笑み、姉王女はラタルを部屋に誘う。
「父はいないから入って。貴方に会わず行くつもりみたい」
そっと支えるようにラタルを立たせ、霊安室をノックする。
すると中からドアが開き、三人の王女達が出て来た。
「ラタル!」
「ラタルだわ!ああ!」
ラタルを囲み、前から後ろから抱き着く王女達。
ラタルは茫然と立ち尽くす。
「ラタル――最後に会えてよかった!
貴方に伝えたい事が沢山あったのよ!」
「ラタルに感謝しているのよ!私達、貴方にとても……」
痛みを分かち合うように泣きながら王女達はラタルに寄り添う。
「感謝……?」
妹を奪われ、恨まれこそすれ感謝などされる覚えはない。
しかし王女達は皆、ラタルに笑顔を向けていた。
「ルルは幸せだったのね。貴方に愛されて、きっと誰より幸せだった」
「貴方に出会わずあのまま養女に出ていたら、きっとこんな幸せに召される事などなかったわ」
「父も感謝しているのよ。でも貴方の顔を見ると余計な言葉を言ってしまいそうだからって……気にしないでね」
恨むどころかラタルを気遣う王女達。
「……貴女方は……どう話を聞いているのですか?ルルは幸せなんかじゃない!俺の…せいで……」
「いいえ、ラタル」
ラーナ王女が静かに首を横に振った。
「いらっしゃい」
ラタルの手を取り、霊安室の中へと入る。
しかし、ラタルは俯いて目を固く閉じた。
「……見たく……ない……」
「見てあげて」
花と香の匂い。
涙が溢れ出す。
すぐにでも発てるように、ルルは窮屈な棺の中に収まり、鮮やかな花々に囲まれていた。
顔が見れない。
しかし、ラーナ王女はラタルの頬に手をかけ、真っ直ぐ前を向かせた。
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