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ラタルに大切な話があったからだ。
クラピカとリンは顔を見合わせ、話を切り出すタイミングを計った。
しかし計るも何も、この沈黙の中ではきっかけなどない。
もう少し待ってみるかと頷き合っていると、ラタルがぽつりと口を開いた。
「……二人はどこに行って来たんだ?」
『えっ…!?あ……えっと……何?』
脈絡のない話題に意表を突かれ、リンは思わず吃ってしまう。
「旅行に行ったんだろう?どこへ?」
『あ!!うん……あの……レオリオのとこ……』
「ははっ、またか。レオリオにもしばらく会ってないな。楽しかったか?」
『うん、凄く……』
ラタルの笑い声に戸惑うリン。
クラピカは神妙な顔でラタルを見つめる。
「メイカやリルルにも会いたいな……そういえばグレス達にはルルを会わせてなかったな。今度連れて」
「ラタル」
ラタルの言葉をクラピカが止めた。
ラタルの両腕が額から下ろされ、ゆっくり目を開ける。
「……もう少し……付き合ってくれ。まだ……」
まだルルがいなくなったと思いたくない
ルルがいる世界にいたい
ルルとの未来の話をしたい
認めたら二度と戻れなくなる――!!
ラタルは溢れ出す涙を隠すように枕に顔を埋めた。
背中が小さく震えている。
「ラタル……よく聞け。お前の気持ちを思いやってやりたいが、時間がない。
今日、この国からルル王女の亡骸が祖国へ帰る」
それを聞いたラタルは、一拍置いて静かに振り返り
凍りついた表情で、身体を起こした。
「え………?」
「……もう、国王と他の姫達が迎えに来ている。今から共に国へ帰るそうだ」
クラピカは落ち着かせるようにラタルの肩をしっかりと握る。
「……ルルは……今、どこに……」
「この病院の霊安室だ。……一緒に行こう」
宥めるような優しい声に、ラタルは首を振って肩に置かれた手を振りほどく。
「嫌だ……嘘だ……」
虚に呟いたかと思えば、突然、ラタルは部屋を飛び出した。
「ラタル!」
『ラタル!!』
追い掛けてくる足音。
慌ただしさを感じて振り返る廊下の患者達。
走るなと叫ぶ看護師の声。
その景色にルルを捜す。
冷たく寒い部屋ではなく
でも、いない。
どこにもいない!
「ラタル……?」
その時、不意に聞こえたのは確かにルルの声。
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