冷たい指
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「ラタル―――!」
「ルルちゃ……」
屋敷の中に入ってすぐ、二人の姿が目に入った。
火の手は近くにない。
高く詰まれた瓦礫の山の上で、ラタルがルルを抱きしめたまま
二人の声を聞いても微動だにしない。
「よかっ…よかった…!ラタル、無事だったんだな!?
俺……俺……っ」
余りの安堵に、シークはナーリンの支える手から離れ、泣きながらラタルの元へ歩み寄った。
「待ちな、シーク!
……なんか……様子が変……」
「え?」
ナーリンに言われ、二人を改めて見上げる。
ラタルが抱きしめているルルが、ぐったりと、うなだれている。
「おい……ラタル……」
「来るな」
掠れた声。
俯いていて表情は見えない。
「来るなって…何で……」
「ラタルくん!ルルちゃん、どうしたの!?」
ナーリンが真っ青な顔で尋ねた。
まさか…まさか!
「……寝てる……まだ寝てるから……静かにしてくれないか……」
「寝てる!?何言って……」
まさか
そんなはず、ない
さっきこの屋敷に入っていったばかりの彼女が
そんなはず!!
シークを置いて、ナーリンは瓦礫を飛び越え、二人の元へ駆け上がった。
しかし、ラタルは見向きもしない。
「ルルちゃんを見せなさい、ラタルくん!」
「………嫌だ……」
ぎゅっ……と、力強くルルを抱きしめ、ラタルは首を横に振った。
「嫌って……何故!?だってルルちゃんは……そんなはずない!」
ナーリンはラタルの腕を掴んでルルを放そうとしたが、ラタルにパシッと振り払われた。
「触るな!!」
そう叫んで顔を上げたラタルは、真っ赤な瞳で涙を流していた。
「なっ…!?」
「来るな!!誰も俺たちに近寄るな!!消えてくれ!!」
ラタルが震えている。
ルルの頬はラタルの涙が幾つも落ちて濡れていた。
「……なんで!?なんでルルちゃんが……」
ナーリンも目に一杯涙を溜めて見下ろす。
ラタルはまた顔を伏せた。
「……みんな消えてくれ……もう……何もしたくない……誰もいらない……」
いらない
誰もいらない
消えてなくなってしまえばいい
明日なんか来なくていい
"絶対に私はラタルを独りにはしない――"
ウソツキ
ウラギリモノ
こんな想いをする位なら
俺は
生まれてこなければよかった
~続く~