冷たい指
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灰色の
絹のような、滑らかな髪……
ルルの……髪……
「あ…あぁ…っ……ル……」
咄嗟に呼びかける事を躊躇った。
呼びかけても応えがなかったら……
雪のように真っ白な顔
青みがかった唇
まるで人形のような
「……ルル……」
ほんの少しも動かない
間近に寄らずともわかる
呼吸がない
否…違う!
呼ぶ声が小さすぎたから!
「……ルル……ルル……!」
ハァッ
ハァッ
ハァッ
何もしていないのに息が上がって苦しい
苦しい
苦しい
「お…起きろ……起きろ、ルル!!」
ここはどこだ?
水の中?
息が苦しい
ここは地獄か?
そうか
俺は生きてたんじゃない
やっぱり死んでいたんだ
たった一人の罪人でもこの手にかけた
天国なんかに行けるはずはなかった
ここは地獄だ!!
これは悪夢だ!!
「ルル……ルル……!!」
勢いよく肩を揺する。
服越しでもわかる。
氷よりも冷たい。
「ルル!!起きろ!こんなとこで何寝てる!!」
何度も何度も呼びかけ、身体を揺すり続ける。
小指の糸にかけられた念
無傷の自分
冷たくなったルル
全ての点が繋がり線になる。
もうとっくに理解している。
だけど、それでも間違いであって欲しい。
「ルル!!」
思いきり乱暴に上体を抱き起こす。
しかし……
――コトン――
ルルの細い腕が、力なく床に落ちた。
「ル……」
目の前がみるみる緋色に染まっていく。
屋敷の凄惨な残骸も
まるで眠っているように綺麗なルルの姿も
全てが朱く、朱く、染まっていく―――。
「あ……あああ……ああぁ……」
あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ―――――――っ!!
「な、何っ!?今の!」
「ラタルの声だ!無事だったんだ!!」
休憩を取りながら、ゆっくり入口まで辿り着いたシークとナーリン。
跡形もなく崩壊した立派な玄関の階段を上り、ようやく中へと踏み入ろうとした時だった。
「無事って……でも今の声……」
二人は深刻な表情で顔を見合わせ、急ぎ中へ入った。
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