冷たい指
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冷たくなって動かなくなった、目の前の愛しい人。
ルルは冷静だった。
「…大丈夫…大丈夫…ラタルの心臓が止まったのなら……あとは待つだけよ……」
言い聞かせるように呟き、ルルはラタルの綺麗な死に顔を見つめた。
見つめながら待った。
そして間もなく、"その時"は訪れた。
ーーードクンッ
急に襲ってきた眩暈。
同時に頭が重くなり、視界は二重にも三重にもぶれ始めた。
ドクドクと心臓が早鳴り、息が荒くなる。
と思えば、次は脈が弱くなり、身体がどんどん冷たくなっていくのを感じた。
身体全体に響く鼓動。
その間隔が開いてゆくのを聞きながら、ルルは生まれて初めて死を感じていた。
「よかった…成功してたのね……」
ラタルの左手の小指に結んだ念糸
ルルの全ての願いを込めて
"ラタルが死ぬ時
私の命をあげる――"
「ラタル……よかった……よかった……」
ルルはラタルの手を握り締め、瞳を閉じた。
ラタルを助けられてよかった
この念糸を結んでおいてよかった
神様――――!
ひたすら安堵するだけのルル。
後は自らが朽ちるだけ。
死ぬだけ。
ラタルは生きる。
これからも、自分がいなくなった後の世界を今まで通りに生きていく。
今まで通りに………
「ラタル……」
ルルの身体が震え出す。
まるで冷凍庫の中にいれられたように、急激に寒くなった。
弱りゆく身体
この現実世界から魂が引き離されてゆく。
「……ラタル……」
視界がぼやけてきた。
ラタルが
すぐ傍にいるラタルが、ぼやけてよく見えない。
「……や……やだ……怖い……」
怖い……寒い……
死にたくない……
死ぬのが怖い!!
どうしよう
もっとずっと一緒にいられると思ったのに
やっと愛してもらえたのに
もうさよならなの?
嫌……いやだ……
離れたくない!
ラタルと離れたくない―――!!
「あ……うっ……ふ……」
堪えきれない涙が、次々に頬を伝い、落ちてゆく。
震える指でラタルの頬をなぞる。
「うぅ――……っ……えっ……えっ……ひっ……」
怖くて恐ろしくて、ルルはラタルの手を強く強く握る。
止まれ、涙!
泣くな、私!
こんな涙の跡をラタルが見たら、どんな気持ちになるか!!
笑ってなきゃ……
……ダメ、笑えない……!
「うぅ……ラタル……」
その時だった。
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