冷たい指
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ら…ラタル!?」
縋るように側に寄り、ラタルに声を掛けるルル。
ラタルは苦しそうに、辛うじて目を開けていた。
「ラタル!!今すぐ助けるから!!ラタル頑張って…!!」
「……ルル……お前……何故……こんな所……」
「ラタルを助けに来たの!もうすぐ救助も来るから!だから、もう少しだけ待ってて!」
瓦礫の隙間に僅かに覗いたラタルの左手を、ルルはそっと握って言った。
しかしラタルは何も言わず、静かに微笑んだ。
「……ラタル……死なないで……」
涙と埃で顔はぐしゃぐしゃ。
こんな時でさえ、ラタルの前では気高い女性でありたいのに
「……ルル……」
「え……?」
「本当に……傍に…いられて……よかった……」
"――俺が死ぬ時はルルに傍にいて欲しい――"
「な…何言ってるのよ!大丈夫……大丈夫だから!ラタルは私が守る!
ラタルは死なない、絶対に!」
「……愛してる……」
ルルが、ハッと瞳を見開いた。
ラタルが最期に遺す言葉は、自分への想いだった。
どうしようもなく胸が詰まって、涙が止まらない。
苦しくて、息もできなくて
「……ラタル……ラタル……私の方が何倍も愛してる……」
私もこの言葉を遺す。
でも何度言っても足りない。
言葉にならない。
左手首に手を宛てると、ラタルの脈はもう終焉を迎えようとしていた。
それを確認すると、ルルは一度深く目を閉じた。
そして覚悟を決めたように、静かに口を開いた。
「ラタル……ラタル……心配しないで……
私は大丈夫……何も怖くない……
だから……覚えていて……私がどれだけラタルを愛してたか
忘れないで……ラタル……」
忘れないで――――
ラタルがルルの言葉を最後まで聞く事はなかった。
ラタルはまるで眠るように安らかに
微笑みながら、息を引き取った。
・