冷たい指
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殆どの視界が煙に覆われる中、気が付いた時にはラタルの姿はすぐ傍にあった。
入口から一瞬吹き込んだ風によってクリアになった眼前に、辺りで1番大きな瓦礫がラタルを下敷きにして、はだかっていた。
「あ……」
思わず臆してしまう程の、絶望的な光景。
ルルはゴクリと固唾を飲み、一拍置いてその足はラタルに向かった。
心臓が壊れそうだ。
近付くにつれて鮮明になるラタルの姿は
真っ青な顔で鮮血にどっぷり浸かっている。
「ら……ラタル……」
見下ろしながら、震える声で話しかける。
ピクリともしない。
「ラタル……ラタル……!」
ガツンと痛々しい音を立てて、ルルは崩れるようにラタルの前に膝をついた。
自分ではとても制御のできない身体の震え。
ラタルの頬に触れる刹那、余りの冷たさに反射的に手を引いてしまった。
「ラタル……!!あ……ラタル……!!」
大きな塊がラタルの下半身を全て隠し、小さな瓦礫が幾つも積もって顔しか見えなくなっていた。
その顔も、血で真っ赤だった。
「ラタル……ラタ……」
……ああ―――…っ!!
こんなに早く、この日が来るなんて!!
「う…うぅっ……」
落ち着け、私……
大丈夫……大丈夫よ
あれがあるもの
ラタルにはあれがある
大丈夫……
「うううっ……」
ルルはガチガチに震える手で途方もなく瓦礫を退け始めた。
自分の全力を以ってラタルを救う為に、泣きながら幾つも幾つも瓦礫を退けていく。
「痛っ……」
自分の頭より余程大きな瓦礫を持ち上げようとした時、爪が割れて血が飛んだ。
赤い雫がラタルの頬に落ちる。
「……う……」
ほんの小さく、掠れた声が漏れた。
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