それぞれの闘い
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凄まじい気迫で引き金を引いた女の前で、微動だにしないラタル。
拳銃が発したのは
カシャン
乾いた虚しい音だけだった。
「……な……なん……」
カシャン
カシャン
「な…んで……」
弾切れなんてないはず
私が
私が念を遣える限り!!
「まだわからないか」
ラタルがゆっくり女に近付く。
「くっ……」
その場から離れようと
地面を蹴ったその時
「……!?……なんだ、これは……」
壁に背中がくっついたように動けない。
その場から離れられない。
「何だ!?何で……まさか……」
女が凝を行って見た物は
ラタルの指輪と鎖で繋がった
自分の胸に刺さる銛―――――
「な…まさか陰!?」
「終わりだ。さぁ、問うぞ。刑に服すか、死か」
冷静なラタルを前に、女は胸の銛を抜く為、必死に抗った。
しかし絶にされている状態で抜けるはずはない。
「答えろ。投降か死…どちらだ!?」
怒号のような問い。
女は心底恨めしげにラタルを睨み、そして悔しそうに顔を伏せた。
「……奴らの作った法律に裁かれるつもりはない。殺せ」
予想していた答えだった。
「わかった」
おそらく、強い者に出会えば出会うほど、この状況に持ち込んで投降を選ぶ者は、これからもきっと少ないのだろう。
改めて覚悟を決め、ラタルは壁に御霊を遺す為に女を引き寄せようとした。
しかし……
「やめてくれ!!」
シークと闘っていた男が自身の対戦を放棄してこちらに向かって来た。
「ティアラを殺さないでくれ!頼む!」
間合いを保つ距離で膝をつき、なんといきなり土下座をした。
「ティアラがいなければ俺達全員死んでいた!
殺すなら俺を殺してくれ!」
「ハオス……」
ティアラと呼ばれた女は、仲間が平伏しているのを滲む瞳で見つめる。
「……この女がリーダーか」
「そうだ」
「仲間に連絡をしろ。交渉だ。投降か、この女の命か」
男は言われた通りに無線を使って連絡を送っていた。
どうやら門前ではやはりゴンが一人捕らえていたらしい。
そして廊下で闘っていたキルアも今しがた勝利し、伸びた敵を引きずって来た。
ベランダの対戦も中断。
仲間の意見は一致した。
交渉は―――成立。
「嫌だ!!何故!!国と私、どちらが大事かなんて決まっているのに!」
泣き喚くティアラという女。
拘束され、連行されて行く。
しかし仲間達はどこか荷が下りた様子だった。
「国か私……か。
そんなもの、皆大切な人間の方を選ぶに決まっているだろう」
「あれ?何、独り言?」
ポツリと呟いたラタルの隣で、傷だらけのシークが清々しく笑った。
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