それぞれの闘い
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思いもよらなかった質問。
その名前は付き合うと決めた時から不自然な程に避けて来た。
ルルの口からも出る事はなかった。
なのに、このタイミングで
「……何でもない。やっぱり答えなくていいわ」
ルルの撤回する声で我に返る。
今、俺はどけだけ沈黙していた?
「いや、答える。正直に言った方がいいか?」
「……オブラートには包んで欲しいわね」
不安なのか、コクリと息を飲む音。
ラタルのシャツの背中をギュッと握りしめる。
「俺が1番好きなのはルルだ。だが、ダリアの事は一生嫌いになれない。
今でも好きだし、幸せになって欲しいと思ってる。以上」
「……そう……」
ラタルの胸に深く埋めたルルの表情は見えない。
しかし、声のトーンは正直な程にがっくりと落ちた。
「……聞かなければよかったか?」
「いいえ……もうひとつ聞いていい?」
「どうぞ?」
「生まれ変わって、もし私が先にラタルに出会ったら、私を最初に好きになってくれる?」
……これまた困った質問。
先程より答えにくい質問などないだろうと余裕でいたら、これだった。
上手い嘘のつけないラタルはまた返答に時間を取った。
「……そんな確かめようのない事、わからない」
時間をかけて考えたのに、出した答えは最悪だ。
「じゃあもうひとつ」
「おい、もういいだろ」
「ラタルが死ぬ時、最後に誰を思い浮かべると思う?」
ルルは顔を上げ、真剣な眼差しをラタルに向けた。
逃げられない瞳。
ラタルは静かに答えた。
「きっとルルを思い出す。でも、できれば俺が死ぬ時は、ルルに傍にいて欲しい」
「ラタル………」
ルルの顔が綻ぶ。
涙を浮かべながら、何度も頷く。
「ありがとう、ラタル……私は生まれ変わったら絶対にまたラタルを探すわ。
ラタルが誰を好きになっても、私は何度でもラタルを好きになる」
そう言って微笑むルルが一瞬、何故か酷く儚く見えた。
「そんな……永遠の別れみたいな台詞はやめろ。」
「ふふっ……そうね」
固く抱き合う二人。
互いの不安を消し去るように。
「……行ってらっしゃい。気をつけてね」
「ああ、行ってくる」
最後に触れるだけのキスを交わすと、ラタルは振り返らずに部屋を出て行った。
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