昂まり、静まり
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1時間後と指定はされたものの、ラタルもルルも自分のペースでのんびり温泉に浸かり、結局準備が調ってレストランに着いたのは40分もオーバーした頃。
入口をくぐるなり1番奥から「おーい」とでかい声で呼ばれ、ラタルの額に青筋が浮いた。
「遅いじゃねーか!待ちくたびれたぜ~!
あ、同じコース頼んどいたけどよかったか?」
「何でもいいが大声を出すな、恥ずかしい!」
「まぁ座れば!?あ、彼女さんも!」
どーぞどーぞとかいがいしく椅子まで引かれてもてなされる。
「んじゃ俺とラタルの再会、そして今後の発展と益々のご健勝に乾杯~!」
「もう訳がわからんな」
苦笑いしながら、差し出されたグラスに手をのばし、流されるまま乾杯を交わす。
シークの隣に座る女性もすまなそうにラタルに頭を下げた。
「見て、これ俺の奥さん!カワイイだろ!?
仲良くしてくれよ!」
「ナーリンよ。ほんと悪いね、なんか…こんなんなっちゃって!」
黒髪をてっぺんで派手に結い上げた、人懐っこそうな女性。
旦那の性格をよく知っているのだろう、無理に誘った事を察しているようだ。
「で、お前んとこの彼女は名前何?」
「あっ……ルルです。以後お見知りおきを」
ルルはニコリと挨拶をする。
「シーク、お前歳は幾つだ?てっきり俺と同じか一つ上位かと…」
「ん?俺?18歳!!今回はハネムーンでこの国に来てんだよ!」
「そうか…いいな」
「ああ!幸せ満開!!」
豪快な笑い声を店内に響かせながら、シークは次々に酒を飲み干して行った。
「ねぇ、ルル…ちゃん?」
突然、真向かいに座るナーリンがルルに話しかけて来た。
「あ、はい?」
「よかったらアナタも飲みなよ、ほら」
少し減ったグラスにワインを注いでくれるナーリン。
「ありがとうございます」
「あーん、敬語はいらないよ!普段余り飲まないのかい?」
「いいえ、ラタルと屋根の上で。ナーリンさんは?」
「ふふっ、私らは見た通り。大酒食らいさ!」
「そう。じゃあラタルと気が合うわね、きっと」
「彼そんなに飲むの?てゆーかさ、ラタルくんてすんごく綺麗だね!女の子みたいじゃない?」
「うん、最初は女の子だと…ずっと思ってたの」
「え~~!?あはははっ!そりゃ傑作!」
ナーリンも遠慮が抜けると、シークに負けない高らかな笑い声だった。
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