昂まり、静まり
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「きゃあっ!ラタル大丈夫!?」
いきなり飛び起きて勝手にひっくり返ったラタルに驚き、ルルは慌ててベッドの上から見下ろした。
「す…すまない……」
茫然とした様子で、ルルに起こされベットの上に引っ張り上げられるラタル。
「どうかしたの?」
ルルの問い掛けに、ラタルは返せる言葉がなかった。
一点を見つめ、息を乱し、前髪をくしゃっと握り締めた。
……心臓が、飛び出るかと思った
まさか今、こんな時に
彼女の幻を……
「ラタル?」
心配そうにラタルの顔を覗き込むルル。
しかし、罪悪感に駆られて視線を合わせる事ができない。
両手で頭を抱えて、ラタルは深く俯いた。
ルルをこんなに好きなのに
何故なんだ
やっぱり抱かなければよかった
ダリアを、抱かなければよかった―――
「ラタル………」
そう弱々しく名前を呼んだきり、ルルの声も途切れた。
後悔なら何度もしたはずだった
ダリアに刻んでしまった自分
自分に刻んでしまったダリア
こうして別れがくる事も知らず、未来を疑わずに
ただ曇り無く愛した……
「ルル……」
「ん?」
ラタルは顔を覆っていた手を下ろし、ゆっくり顔を上げた。
しかし、視線は空に止まったまま。
「……約束……してくれないか。これからも……俺の傍から絶対に離れないと」
「……ええ。約束するわ」
「俺から絶対、離れていかないと。俺を置いて、去っていかないと約束してくれ。
何があっても、絶対」
「うん……大丈夫。絶対に私はラタルを独りにはしない」
「もし……もしもそれが現実に形として証明できる……その日が来たら、その時……だから、今は………」
「……大丈夫。何も心配なんていらない」
ラタルの不安げに揺れる瞳。
ルルはラタルの頭を自分の胸に抱きしめた。
「大丈夫……いつか私が、ラタルの心の中から消してあげるから……」
痛い程、温かい腕。
ルルはラタルの心を全て理解していた。
理解しながら尚もかけられる優しい言葉に、不意に緩みそうになる涙腺を、ラタルはぐっと堪えた。
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