退路なし
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「お願いよ……」
どんな処罰も覚悟の上でプライドを取り、王女達の前から去ろうとしたラタルの背中に、ラーナ王女の涙声が聞こえた。
ラタルは振り返らないまま、足を止めた。
「あの娘があまりに可哀相なの。昔、とても恐い思いをさせてしまって…あの娘は男の人が駄目になったのよ」
ラーナ王女がポツリポツリと話しを始める傍で、妹達が肩を支えたり涙を拭いたりしている。
ラタルはゆっくりと振り返り、ラーナ王女の方を向いた。
「ルルは幼い頃、盗賊達に誘拐されて一ヶ月も人質にされていた事があるの」
ラーナはラタルの真摯な瞳を見て話を聞いてくれるつもりなのだと理解し、続けた。
「武骨な男ばかりの盗賊だったと聞きました。
辱めを受けるまでには至らなかったみたいですが、相当恐ろしかったのでしょう……
それからはお父様にさえ触れる事ができなくなりました」
まだ王国が独立していない昔
母親と出掛けた森の中で一人だけはぐれてしまったルル王女は
つけ狙っていたその盗賊たちにさらわれてしまった
何度も金を要求され、言われるまま渡すが彼女は返されない
一ヶ月後、強行突破で救い出されるも、その際にも沢山の血を見てしまったらしい。
「深い傷だな……」
「ええ……でも私達はあの娘を遠くにやりたくない。何も悪くないあの娘を、どうして隔離されたような国にっ……」
ラーナだけでなく、他の王女達もすすり泣く。
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