愛を取り戻せ(キリリク)
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カラフルな光が部屋の中を行き来する。
向かい合って座るキルアの顔がすごく真剣でビビってしまう。
『キルア』
「お前さ……」
キルアが顔の前で手を組んで言葉に詰まっている。
『な、なに?』
和やかな時間が一瞬にして緊迫する。
そんな顔やめてよ
私の中ではいつまでも昔のままの小さなキルアと変わらないのに
(って程小さくはなかったけど)
そんな知らない男の人みたいな顔しないでよ…
キルアにドキドキするのは最大の裏切りなんだから―――!!
「お前さ………
ちゃんとクラピカに理由聞けよ」
『………………へ?』
耳を塞ぎたいほどの緊張に苛まれながら、キルアの言葉にリンは間抜けな一文字を出した。
『クラピカに……理由?なんの?』
「態度が変わった理由だよ。
つーか普通はまずそこを明らかにすべきだろ。
何あの女の口車に乗ってんだよ。
メイカなんかに相談するからアホな事になんだろ?」
『メイカなんかって、私の大事な友達だもん!
メイカのお蔭で仲直りできた事もあるし!』
「それ相談しなくても仲直りしてたって。
とにかくクラピカが何で怒ってんのか聞いてやれよ。
余計な事ばっか考えやがって、多分もっと怒ってるぜ、クラピカの奴」
言いながら氷の溶けきった温いオレンジジュースを、眉間にしわ寄せながら一口含む。
『……だって……怖いんだもん』
リンは暗い顔で深く俯いた。
確かに逃げていた
有り得ないと思いつつもクラピカの真意に触れるのは恐ろしかった
「大丈夫だって。
お前を嫌になるわけねーよ。単になんか怒ってるだけだからさ」
『絶対?』
「賭けてもいい」
真剣なのかいい加減なのか、キルアは歌本を見たまんま言った。
『……ありがとう。実は優しいんだね』
「まぁね。これでもお前を本気で口説いた事ないし。無償のアイ、目指し中」
今日、初めてキルアが笑った。
とうとう一曲も歌う事なくカラオケを出る事になった二人。
時計を見ると午後2時。
微妙な時間帯だ。
『なんか食べよっか?』
「ああ。そーいや腹減ったな」
暫く歩いてレストラン街のアーケードに入り、様々な料理のいい匂いに悩みながら店を選ぶ。
『あ、パスタ!パスタよくない?
キルアには物足りないかな?
もっとこうガツン系でも私はいけるけど……』
一人でしゃべりながらリンがキルアを見上げると、その視線はどこか遠くの何かを捉えたまま固まっていた。
『……どうかした?』
「………………」
キルアの顔を覗き込んだ後、リンもその視線の先に目をやった。
そこにあったのは………
『………クラピカ……?』
今日、仕事のはずのクラピカが女性と二人で歩いている。
しかもその女性はしっかりとクラピカの腕に絡みついて何か話しながら笑っていた。
『うそ………うそだよね……』
有り得ないよ
頭真っ白なんだけど
心臓痛いんだけど
眩暈するし…あれ?
何だっけ……何?
あれ、何?
夢?すごい悪夢……
あ、なんだろ、前が滲んで見えなくなってきた……
どうしよう…………
『クラピカ……』
「……っのやろぉ!!」
リンがその場にへたり込むのと同時に、キルアがまっしぐらにクラピカに向かって行った。
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