愛を取り戻せ(キリリク)
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『と言う訳で、明日キルアと出掛けてくるね!』
遅く帰宅し、食事中のクラピカにミニスカポリスなリンが言った。
クラピカのフォークを持つ手が止まる。
「……二人で?」
おおっ
久しぶりに質問とかされた!(悲しい)
『うん、二人で。
一緒にカラオケ行ってくる!』
なるべくニコニコと嬉しそうに言ってみる。
「………そうか」
とだけ返事して、クラピカはまた食事を続けた。
……………え。
そんだけ?
『い、行って……いいの?』
「好きにしろ」
ぅ怒ってんじゃんっっ!!
いや、どうなの!?
こういう場合、怒ってないとダメよね?
平気……なの?
そんなクラピカの反応にまたしても不安が募っていく。
以前はあんなにキルアの事に敏感だったのに。
「女じゃね?」
『ばか!!』
親切に家まで向かえに来てくれたかと思えば、切実な相談に対しての何と酷い答え。
リンが涙目で罵倒する。
「だって理由に心当たりないんだろ?
じゃあクラピカ自身の問題じゃん。
お前に飽きて他に移り気したんだって」
『あんた本気で言ってる!?クラピカがそんな事するって!?
ありえないじゃん、ないよ!!多分嫌な事あって八つ当たりだとかさ!』
「そっちのがねーだろ。
いや、仮にそうだとしてもクラピカならすぐフォロー入れるって。
それがないのはさ……」
『………………』
長い沈黙。
キルアの運転する四駆のオープンカーが風を切ってハイウェイを行く。
心と裏腹にド快晴。
もうすぐ夏。
あまりにも清々しすぎて痛いくらいだ。
「俺にしとけって」
『まだ言ってるよ』
「ずっと言うぜ。
自信あんだけどなー」
『ありがとね~』
「……お前、ひで(酷)」
片肘を窓枠に乗せ、銀髪をキラキラ反射させて、すっかり男の人になったキルアの助手席に座るのは、正直悪い気はしない。
キルアかっちょいいなー
怒られそうだから言わないけど
リンとキルアは当初の予定通り街中のカラオケに向かった。
「俺この年になってカラオケ初めてなんだよな」
『げ、私も!』
どちらもリードできないとわかり、顔を見合わせて苦笑いしながら受付けへと向かう。
二人してやたらキョロキョロ辺りを見渡し、受付けでもしどろもどろ。
「いらっしゃいませ。
2名様ですか?」
「あ、ああ」
「会員様カードはお持ちですか?」
『あ、この人ハンター証なら持ってます』
「は?」
キルアがリンをパコッと殴って黙らせる。
「何でもない。
会員じゃないと入れねーの?」
「あ、はい。
身分証などお持ちでしたら入会費、年会費無料で会員カードをお作りしますけど」
「じゃあそれで」
キルアはハンター証ではなく車の運転免許証を差し出した。
手続きを済ませ、無事に会員カードを受け取り、部屋に案内される。
慣れていないのを見透かされてか、機械の操作を事細かに説明された。
『なるほど。リモコン操作で曲が入るわけね』
「何歌うかな。レパートリーねーんだよな」
『あ、あれ聞きたいな。
アニメのテーマソングでさ』
「俺はあれ聞きたい。
はまあゅの…」
『私はあれがいい』
「俺はあれ」
互いにリクエストし合い、その要望に応えきれずに一時間が過ぎた。
「つーか今こうしてる時間も金取られてんだよな」
『何をケチ臭い!ハンターともあろう者が!』
「いや、つーかお前、払うのはクラピカが稼いだ金だろ!」
そこだけは現実を突き付けるような突っ込み。
『クラピカ……
私の事をどう思ってんだろ……』
「だから俺にしとけっつの。お前もわかんねーやつだな!」
『私クラピカが世界一好き。
それでもいいの?』
「いいよ。何をいまさら。
それでも好きだから」
結局、二人とも一曲も歌わないまま時間が過ぎた。
フリータイムの時間が終わる。
キルアが適当な番号を入れて部屋に無声のバラードが鳴り響く。
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