亀裂?秘密?愛の形(キリリク)
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コールが鳴る。
確かに相手に繋がっているはずの定番電子音。
しかしリンは一向に出ない。
「……遊んでいるのでは?」
結果を聞く前に、察しのいいラタルが口を開いた。
クラピカは無言で電話を切り、今度はゴンに掛け始めた。
土壇場での選択がキルアではなくゴン。
その事実だけでラタルは爆笑寸前だ。
「勘違いするな。
いつもゴンの方が繋がる確率が高いからだ」
無理矢理な御託を並べるクラピカ。
両親の仲が良い事は本当に嬉しいが、こうして息子の前でも構わず純愛エピソードを増やしていくのを、一体どういう顔で見物すればいいのか。
ラタルはニヤける顔を見せないように欠伸(あくび)をする演技をして顔を伏せた。
「あ、もしもしクラピカ!?久しぶり!!」
「……ああ、久しぶり。
元気にしているか?」
どうやら無事に繋がったらしく、目の前のクラピカが応答をし出した。
ガッカリと安堵が半々の状態でラタルはその様子を見守る。
「今日はリンが世話になったな。
ありがとう、感謝する」
「あ、うん、俺たちも楽しかったから!
でもリン、忘れ物しててさ!届けた方がいいかな?
ちょっと聞いてみてくれない?」
「……リンにか?
まだ帰宅していないが…」
「あれ?ほんと?
もうとっくに着いてるかと思ったのに」
ゴンの声は純粋そのもの。
見えなくとも本当にクエッションが浮かんでいるのを感じ取れる。
どうやらリンはとっくに彼等と別れていたらしい。
聞けば帰宅予想時刻を二時間も過ぎている。
クラピカとラタルはゴンとの電話を切った後、リンの好きな散歩コースへ捜しに出た。
「何かあったのか?
何をやっているんだあいつは…」
「まぁ、母さんに関してはいつもの事だがな」
同じ顔、同じ声の二人が同じように眉間にシワを寄せて走りゆく。
「まさかヒソカと?」
「どうだろう 」
気休めの否定をしないところがラタルらしい。
と、その時だ。
「!」
「!!母さん!」
という声も聞こえぬ位の距離に、その姿を見つけた。
そこはリンのお気に入りのレテロな並木道。
敷き詰められた煉瓦の足元に枯れ葉が沢山落ちている。
そんな季節。
時刻はそろそろ日照が西日に変わる頃だ。
リンは1人ではなく誰かと一緒にいる。
……誰かなんて遠目でも丸わかりのシルエットだが。
ヒソカだ。
もの哀しい景色の中で見事にその雰囲気をぶち壊す、相変わらずの奴のピエロな格好。
突如、直面する事になった現実に、クラピカとラタルの足はいつの間にか止まっていた。
一体何を話しているのか、リンは途中で涙を拭う仕草を見せている。
そんな様子を見て真正直に飛び出て行こうとするクラピカ。
その腕を掴み、口を塞いで木陰に引っ張り込むラタル。
「っっ!? 」
目だけで「何をする!?」という意志が伝わった。
「しっ!少し様子を見よう!
あの"クラピカ大好き"の母さんがヒソカと何かあるわけない。
気付かれないよう近付いて会話を聞こう」
人差し指を口に当て、ギリギリの小声でラタルが言った。
自分より遥かに冷静な息子の言葉で我に返り、クラピカは不本意ながらも仕方なく頷いた。
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