誰にもあげない(キリリク)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
クラピカは喫茶店の窓にへばりつくリンに気付き、信号が青になるのと同時に向かいの歩道から駆けてきた。
『クラピカ……』
ああ…姿を見るだけで切なくなる
毎日会っているのに、どうしてこうも愛しいんだろう
飽きないんだろう
「ごめんなさいね。私がメールで知らせたの。
まぁどの道、彼の能力で探し当てられちゃったでしょうけど」
『センリツ……ごめんね。ごめんなさい!!』
「謝ることなんてないのよ。さぁ、早く行きなさい」
『ありがとう!!』
リンは急いで店を出ると、横断歩道を半分まで渡りかけていたクラピカの所へ飛んで行った。
「リン!」
『クラピカ!』
クラピカは両手を広げてリンの体を抱き止めた。
きつく抱き締められた腕に、この上ない愛情を感じてリンの目からぶわっと涙が溢れた。
『クラピカぁ……クラピカ~~!!』
必死にしがみついてくるリンを掴んだまま、信号が赤に変わる前にクラピカは横断歩道を元の道に戻った。
そして喫茶店の内側から微笑みながら手を振るセンリツに小さく頭を下げて " ありがとう " の合図をした。
「ふぅ…まったくお前ときたら……一体何度私を困らせれば気が済むのだ」
『ごめ…ごめんなさい…でもね、私…あのね…』
「何でも聞くよ。全部胸の内を吐き出せばいい。
……さっきは悪かった」
クラピカはリンの手を引いて街角の駐車場に止めた車の方へ向かって歩いた。
『クラピカ…ごめんなさい。私、クラピカを大切にしなきゃいけないのに…クラピカに求めてばっかで……』
リンは泣きながら、クラピカに連れられるままに歩いた。
片手はクラピカに引かれ、片手で涙を拭いながら。
クラピカは黙ってリンを車の助手席に乗せると、自分は運転席に乗ってエンジンもかけずにリンの方を見た。
「……で、お前が一番辛かった事は何なのだ?」
窓枠に肘をついて頭を支えながら、穏やかな声で尋ねるクラピカ。
『あ…あのですね…クラピカを大事にできない自分に腹が立ったというか…』
「私に怒っていたのではないのか?」
『え?あ、いや……えっと……』
「正直に言え。今更何を言われても驚く事などない」
クスッとクラピカが笑い、リンの緊張も自然と解けた。
そして、押し込めていた本音がポロリ、またポロリと溢れ出した。
『…私、クラピカに何も望んだりしないって誓ったくせに…それすら守れなくて…
クラピカ……私……
クラピカともっともっと一緒にいたい……』
本音と共に涙までもが溢れ出す。
『クラピカが大好きすぎて、クラピカが誰かと話すのすら嫌だ……
クラピカが他の女の子と笑ったりするの嫌だ……』
言いながら、恥ずかしい気持ちと嫌われるのではという不安が込みあげてきた。
しかしクラピカはリンの両手をそっと握って優しい瞳で見つめている。
「他には?全部話してくれないか」
クラピカがリンの顔を覗き込んで、甘やかすように言った。
・