誰にもあげない(キリリク)
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「……そう。クラピカとそんな喧嘩をしたの」
『ごめんね…センリツは悪くないって、頭ではわかってんだけど…
早く会いたいって思ってるのは私だけなのかなぁとか…』
「ふふ。リンは本当に彼が好きなのね」
すぐ近くの喫茶店に入り、リンは吐き出すようにさっきの出来事を全てセンリツに打ち明けた。
うう…私ってば馬鹿正直
無神経
こんな事を話したってセンリツが気にするだけかも知れないのに
センリツに距離を置いて欲しいわけじゃないのに……
ただ、クラピカの全部を独り占めしたいだけなんだ
一体いつからこんなに欲張りになったんだろう?
前はクラピカが生きているだけでよかった
幸せになってくれるなら、私の側でなくてもいいとまで思ってた
クラピカの為に生きて、クラピカの為に死ぬっていう気持ちは今でも変わってないのに……
ずっと私だけ見ていて欲しいって、そう願う事自体、自分に対して矛盾してるよね
建前で取り繕うのは苦しいけど簡単だ
でもやっぱり本音は違う
私だけを見て欲しい
私の事だけ考えて欲しい
もっと傍にいて欲しい
もっと好きになって欲しい
自信を持ちたい
確信が欲しい
誰にも触れさせないで
どこにも行かないで
一緒にいて
クラピカの時間……
全部私に頂戴
だって
こんなに愛してるんだもん…
傍にいればいる程、ワガママになっていくんだ
愛情に比例して自分勝手な黒い心が増えていく
それをクラピカに知られて嫌われるのが怖いよ………
センリツはリンの話を黙って聞いてくれた。
頼んだコーヒーは二人の手元ですっかり冷めてしまっていた。
リンは何より自己嫌悪が先に立って、いつになく深く落ち込んだ。
センリツは一通り話を聞き終えると、ようやく冷めたコーヒーを一口すすって口を開いた。
「リンの気持ち、わかるわよ。でもそんなに落ち込む事かしら?
好きなら独占したいという気持ちが湧いてくるのも自然だと思うけど」
『違うの。私は自分でクラピカには何も望まないって誓ったんだよ。
それなのに、いつの間にか大切にされる事に慣れちゃって、求める気持ちの方が大きくなってって……』
「あら、何も望まないなんて…何故そんな寂しい事を言うの?
愛する人が自分を愛してくれるなら許される限り望んだらいいじゃない。
人間は神様じゃない。綺麗にだけ生きるなんて無理だわ。
それとも貴方はクラピカに何も望まず自分を愛して欲しいと思っているの?」
『!!思ってないよ!!
ぶっちゃけ何でも望んで欲しいし求めて欲しいし、むしろ私の全てはクラピカの為にあるんだから、クラピカになら殺されたって騙されたって何の後悔もないよっ!!』
リンはセンリツが引くくらい、もの凄い迫力で熱弁をかました。
ゼーゼーと息を切らせ、額に汗を滲ませ、言い終わった後になってからハッとして赤面した。
ポカンと目を丸くしていたセンリツが、フッと吹き出してクスクス笑った。
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