白いプレゼント(キリリク)
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「せっかくのドレスが涙で濡れてしまうぞ」
クラピカは微笑みながらリンの手を取って、鏡の前に連れてきた。
「私は後ろを向いているから…自分で着替えられるか?」
リンがコクリと頷く。
泣いたせいで目が真っ赤。
いつにも増して酷い顔だ。
(でも、こんな素敵なドレスを着るんだから笑顔でなくちゃ!)
来ていた繋ぎの服を脱ぎ、ドレスを着て背中のファスナーを上げる。
実際に着てみるとだいぶ胸が開いていて、体を装飾する宝石たちが隠れる事なく輝きを放っている。
サイズはリンの体にピッタリ。
手作りの白い花々が祝福するかのように体中で咲き誇っている。
「着たか?」
『あっ、うん』
確認してからクラピカはゆっくり振り返った。
そして、初めて見るリンのドレス姿に息を飲んだ。
最初にこの店を訪れた時、プランナーの女性に差し出されたドレスのカタログの中から沢山の候補を上げ、最終的にこのドレスに決めた
リンにはどれが似合うだろう?
どんな形がいいだろう?
どんなものが好きだろう?
リンの体に合いそうなものを
リンの笑顔を思い浮かべながら……
そうして迷いに迷った末、私の中にあるリンのイメージを伝え、具体的な要望を取り入れて貰い、カタログにはないこのドレスを注文した
そうして頭の中では何度も着た姿を描いていたのに
実際に目の前にしてみたら……
それは想像とは遥かに違っていた
想像よりもずっと綺麗で可憐で神秘的で───
似合っていた
似合いすぎていた
思わず目を奪われた
言葉も失い、ただ見つめ続けた
『あ…あの~…丁度いいんですけど……
おかしいかな…?』
ドキドキと戸惑いが入り混じった声でリンが尋ねると、クラピカはハッと我に返った。
「あ、いや…すまない。とても似合っている。
サイズも問題ないようだな。どうだ?お前はこれでもいいか?」
『うん。すっごく可愛い!好き!
……でもいいの?これ、高いんじゃ……』
不安気に視線をドレスに落とすリン。
「心配するな。先に払ってある」
クラピカは余裕の笑顔で答えた。
『へぇ!?払ったって…
いくらしたの、これ!!』
「何を無粋な。言う訳なかろう」
怪訝そうにリンを睨むクラピカ。
それでもリンは不安な表情で着ているドレスとにらめっこ。
だって……
特注って言ってたし、デザインも布もいいし、絶対高いよコレ!
私の為にクラピカが頑張って働いたお金が……
そんなリンの心は、顔を見ただけで全てバレてしまう。
まったく
気にする必要はないと言うのに
らしいといえばらしいが、そんなに甲斐性無しとでも思われているのだろうか?
「リン、これは一生に一度のプレゼントだ。 もちろん安くはないが、決して高いとは思わない。
お前のその姿を見れるだけで、全てが報われるのだよ」
瞳は真剣。
しかし、優しい微笑みを浮かべながら、クラピカはリンの手を取りキスをした。
「私達には他に家族がいないから、式にはお互いが知るいつもの仲間達しか呼ばない。
小さな式になるが、それでもいいか?」
ああ……だからこんな胸の開いたドレス……
この秘密すら、知ってる仲間ばかりだから……
『うん、当たり前だよ。
クラピカとなら例え近所の公園で二人きりの式でも構わないよ!!』
涙ながらに言ったその一言は、意外にもクラピカの笑いを誘った。
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