白いプレゼント(キリリク)
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「どうした、来ないのか」
『…ど、どーしたってぇ~………』
今にもどしゃ振りになりそうな顔を見て、ギョッとしたクラピカは慌ててリンを店の中へと引き込んだ。
「おい、既に店の前で泣くつもりか!早すぎるだろう」
『あう……だってクラピカ……い、忙しかったのに……う、いつ…?いつ調べたの、こんなトコ……?』
クラピカの必死の制止に辛うじてギリギリ涙を留めているリン。
クラピカ……私、言ってなかったのに………
結婚式したいなんて、口にした事なかったのに………
何で…………
『エスパー…?』
「かもな」
思わずふっと吹き出すクラピカ。
ここでこれから式の計画を進めるんだ…
夢みたい……
クラピカと結婚式……
まずは日取りから?
───と思いきや。
「お待ちしておりました。
こちらがご新婦様ですね?」
店員の綺麗なお姉さんが「こちらへどうぞ」と店の奥へ誘う。
『?????』
何が何やらわからずにただついて行くだけのリン。
向かったのは広い試着室。部屋の中には真っ白なウエディングドレスや色とりどりのカクテルドレスが沢山掛けてある。
そのど真ん中にいたトルソーが、真っ白な花をふんだんに纏ったシルクのドレスを来ていた。
リンはその綺麗なドレスに一目惚れし、釘付けになった。
『かわいい……』
「気に入ったか?」
すぐ真後ろからクラピカの声。
驚いたリンが慌ててクラピカを更衣室の外へ押し出す。
『だ、駄目だよクラピカ!ここは女の子の更衣室だよ!!』
「お客様、大丈夫ですよ。他に人はおりませんし、新郎様から前もってお話を伺ってますから」
『は…話??』
そう言って、店員はクラピカに目配せしてから一礼すると、部屋から出てドアを閉めた。
『何、どゆこと!?』
全く話が掴めないリンが助けを求めるかのような目でクラピカを見る。
クラピカは靴を脱いで試着室に上がり、トルソーが来ているドレスを前から後ろからじっくり確認する。
「…ふむ。なかなか良い出来だな。このドレス、合わせてみてくれないか?
お前の体に合わせて作ってもらったのだが」
『っぅえええ!!?』
リンは驚愕の叫びを上げ、手に持っていたバックを床に落とした。
そしてまたしても固まった。
「……いや、とは言ってもあらかたのサイズを伝えていただけで、着てみないことにはまだ合うかどうかわからないし、とにかく早く着て見せてくれ」
放心状態のリンをよそに、クラピカはいつも通りのクールなテンション。
トルソーからドレスを脱がせてリンの前に差し出す。
「店員の女性には私が試着を手伝うと言ってある。お前が極度の恥ずかしがりやだという事にしてな。
体…見られるわけにはいかないだろう」
震える手でドレスを受け取り、感極まった表情でそれを見つめるリン。
『こ、このドレス……私のなの?い、いつからこんな事……』
「お前が入院している時。仕事が終わった後、病院に向かう前にここへ来て色々聞いておいたのだ」
『私の……為……?』
「自分の為だよ。私がお前の花嫁姿をどうしても見たかった」
もう、泣くのを堪えるのは限界だった。
どうしても込み上げてくるものを止められずにリンはポロポロと涙を流した。
『クラピカ……ありっ……ありがとお………』
「また泣くのか」とてっきり怒られるかと思ったのに、クラピカはこの上なく優しかった。
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