ルル
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それから数年の月日が経ち、私は15歳になった。
あの日から少しずつ体調は良くなり、ちゃんと食事も摂り、生きる力を取り戻した私は、私らしく昔のように笑顔で毎日を過ごしていた。
元々、体を動かすのは得意だったし、姉様達がした事のない格闘技やスポーツも習ったりした。
相変わらず男性は駄目で、お父様とも挨拶をしたり食事を同席したりするだけで精一杯だったけれど
それでも進歩した。よかったと思った。
ただ、その進歩にも限界を感じたり、進歩する為の力が足りなくなったり、疲れたり…そんな日もあった。
ある日の夕食の時、お父様が決意したように皆の前で言った。
「ルルをサラーマ島の王室に養女に出す」
最初から何か言いたげなのは見てとれたけど、内容には全員が驚愕した。
一瞬、誰もが耳を疑って、静寂が駆け抜けた。
サラーマ島は、昨年独立した我が国とは姉妹国で、文化こそ交流したり分かち合ったりするものの、男性は入国厳禁の女性王国だった。
お父様は昔から一番に私を可愛がってくれた。
手放すのは死ぬほど嫌だったに決まっている。
故に、断腸の思いでの決断だった事は明らかで、私は改めてお父様の深い深い愛情を思い知ったの。
お父様を大好きなのに、避けなければならない事実が辛くてならなかった。
きっとそんな気持ちも全部見透かされ、とても胸を痛めていたに違いない。
「嫌よ!ルルをそんな遠い国になんて…」
「考え直して、お父様!」
姉様達は必死になって抗議したけれど、私の「わかりました」という一言で、二度目の静寂が訪れた。
「わかりました。私はマサラ叔母様の元へ参ります。
…ありがとう、お父様」
泣き虫なラーナ姉様…もう頬には涙が幾筋も流れていて。
だから、私は泣かずに言えたわ。
大好きな人達に余りに心配をかけすぎた。
余りに支えられすぎた。
私はちゃんと、両手も両足も授かって生まれる事ができたわ。
自分で何でも掴めるし、自分でどこにでも歩いていける。
甘えて生きるのは嫌いよ。
寂しさを越えて、どこにいても私らしく生きていきたいの。
「強くなるわ、私。だからずっと見ていて…」
誇りを持って、笑顔を忘れずに。
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