ルル
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それまで何ヶ月もずっと眠れずにいたのに、お母様が亡くなってからはどうした事か、逆に一日のほとんどを寝て過ごした。
体が動かなくて、頭も働かなくて、何もかもどうでもよくて、
そうなると、何故かもう起きられる気がしないの。
食事の為に起こされ、食事と排泄だけ済ませ、また眠って。
そうこうしているうちに、食事も喉を通らなくなって。
そもそも、何故食事をしなければならないのかわからなくて。
そう言うと、ラーナ姉様は声を上げて泣いた。
心は動かなかった。
それからまた数ヶ月経ったある日の事。
「ルル!起きて!今日は年に一度の花祭よ!」
「この屋敷の屋上からも町が見えるわ!朝から凄い人なの!」
「貴女の好きな甘いお菓子も売ってるわ!行きましょう!」
姉様達が起こしに来たかと思えば、そのまま強引に着替えさせられて。
寝てばかりで体力が落ちきっていた私を車椅子に乗せると、嬉しそうに眩しい日の下へと連れ出した。
「ね、姉様達…私は…」
「心配しないで!町まで引っ張り回したりしないわ。
お菓子は私達が買ってくるから、ルルはラーナ姉様と教会で待っていて」
そう言うと、三人の姉様は手を取り合って町へ駆けて行った。
ラーナ姉様が車椅子を引き、屋敷から程近い教会へと向かう。
懐かしい、風の匂い。
久しぶりに見た近隣の景色は、まさに花祭と呼ぶに相応しい彩り豊かな花々に溢れていて。
木陰が穏やかで、木漏れ日が優しくて。
わざとゆっくり歩いてくれる姉様の心遣いが、有り難かった。
「あら…見て、ルル。教会も花が一杯よ」
門前に差し掛かり、庭の鮮やかな様子がよく見えた。
ちょうどその時、教会の鐘が鳴り響き、中から白い衣装に身を包んだ男女が、腕を組みながらゆっくりとした足取りで現れた。
大勢の人々に囲まれ、花びらが降る中を幸せそうに歩いてくる。
「結婚式だわ。綺麗ね…素敵…」
そう漏らした姉様の声は、どこか焦がれるように艶を含んでいて。
心の底からそう感じているのだと、こちらにも伝わってきた。
・