ルル
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神様は、いない
絶対にいない
いないと信じる事で、私は救われてきたのだから
「おい…起きろよ、お姫さんよ」
「う……」
「ほら、んなカッチリした服着たまんまじゃ寝苦しいだろ?
脱がしてやっからよ」
「……!?な、なに?何するの!?」
「シッ!騒ぐんじゃねーよ!
大人しくしとけば…痛ェ事はしねーから…な?」
「や……いやっ……」
いや……
いやいやいやいやいやいやいや!!
嫌!!
「触らないで!!嫌ぁぁぁぁ!!!」
「ルル!」
叫びながら飛び起きた私を、体を張って抱き留めてくれたのは、長女のラーナ姉様だった。
姉様の髪の優しい香りと、自室の懐かしい景色。
「…ルル、大丈夫…もう大丈夫なのよ」
優しい声。
荒れた呼吸と冷えた汗に、震える体がまるで自分のものとは思えないほどに全く意思が及ばない。
「ハァッ……姉様……姉様……ここは本当に私の部屋……?」
「そうよ。だからもう何も心配いらないのよ」
「……でも……さっきまでいたわ……あの男に腕を掴まれたもの……」
「それは夢よ。もう賊共は皆殺されたのよ。どこにもいないのよ」
「……あ……」
一瞬にして、鮮明に蘇る鉄の匂い。
銃声、怒声、悲鳴、断末魔、降る血の雨に、ゴミのように転がる死体―――
私を安心させる為に言った姉様の言葉は、更に私を絶望の惨劇へと引き戻す事になり
「いやあぁぁぁぁ!!いやっ……嫌ぁぁぁぁ!!あああああ!!」
「ルル!!」
全てが終わって、助け出されて、やっと解放されたはずだったのに
私の心にはもう、元の日常は戻ってこなかった。
幾日、幾夜越えようと、精神を深く蝕んだものは生傷のまま乾く事はなく、痛んで、疼いて、流れる時間を受け入れてくれない。
私は幼くして、この世に永劫の闇が存在する事を知った。