覚醒の後(12歳、キルア視点のハンター試験中)
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『あれっ!?何やってんの?部屋入んないの?』
洗い髪をタオルで荒々しく拭きながら、この上ない無防備な格好でリンが戻ってきた。
こいつホントいい加減にしろよ。
バスローブの胸元、はだけてるって。
「……せっかく二人きりにしてやったのに、このタイミングでシャワーかよ」
成り行きでたまたま作ってしまった状況だったが、わざと恩着せがましく言ってやると
『だって!よく考えたら四次試験で一週間もまともにお風呂入ってなかったんだよ!?
クラピカの事だから隣に寝てなんかくれなかったと思うけどさ!
万が一!ね!?隣に来たらさ!ね!?』
「はぁ…」
『あ!キルアも一緒に寝たか!私汗臭くなかった!?』
「別に。人間らしい匂いだったけど」
『………なんかヤダ!!キルアのバカ!!』
バッチィ―――ン!!
「ってぇ!!」
照れながら頬を思い切りぶっ叩かれ、いくら何でもちょっとイラッときてしまい
こっちも思わず手が出そうになってリンの頬を目掛けたけど
『――――?』
「………あ」
瞬間的に制御しようとしたのがどう働いたのか、気が付いたら両手でリンの頬を包み込んでいた。
『……キルたん?どした?』
「な、なんでもねーよ」
『…うん。…うん。……放さないの?』
「……離れて欲しい?」
『いや、別にいいんだけれどもー……えー……』
「……バカだな、お前」
手を離すのが名残惜しいくらい
なぁ、いつの間にこんなに俺
お前の事
『……キルア?』
ふたつの腕を、ゆっくり下ろして
まだ見つめていたいふたつの目を、リンから逸らして
少しも意識なんかしていないのが見て取れる、憎いリンに背を向けた。
『キルアー?』
「頑張れよって、今だけは言ってやるよ」
『へ?』
「でもその後は、譲ってなんかやんねーからな!」
『な、何が??』
もう二度とクラピカに同じ質問はしない。
俺は俺が大事だから。
でも……もし叶わなくたって、どうせ小さな初恋なんだろ?
いい思い出だって、いつか言ってみせるよ。
そう
いい思い出だって
言えたら幸せだったんだろうか
もしあの時、二人を応援なんてしなければ
リンの背中を押さなければ
違う今があったのだろうか―――――――
そんな思いは、今でも大好きな彼女の笑顔を見る度に
間違ってなどいなかったんだと
何度でも俺を救ってくれるんだ……
*あとがき*→