覚醒の後(12歳、キルア視点のハンター試験中)
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「―――!……キルア」
部屋にいたのは、クラピカ一人だけだった。
さっきと同じ場所に座り、少し驚いた顔をして俺を見ていた。
「……あれ?リンは?」
「ああ、今シャワーを浴びに行ったところだ」
「あ……そ」
……………ん?
いや、待てよ。
じゃあ今クラピカが呼んだリンは………
「………クラピカ」
「なんだ?」
僅かに眉間にシワが寄るのを、数メートルの距離でも確認できる。
質問を読まれてる。
そして、さっきと同じ答えを用意して待っている。
"クラピカはリンの事、嫌いなわけ?"
"いや……そんな事はない"
"応えたくないなら俺がアイツ、守ってくよ"
"私に何を言わせたいのかわからんが、期待している言葉は出ないだろうな"
―――そんな答えがあるかよ!
ちゃんと向き合えよ!
アンタにどんな事情があろうと俺には関係ない
あんな必死にひたむきにアンタを想ってんのに、アンタがことごとくかわすから全部空回りだ
なんで一人であいつの名前なんか呟いてんだよ
もう自分でもわかってんだろ―――!?
頭の中で、口から出ない長い長い呼びかけ。
クラピカに全部言ってもいいはずだった。
でも俺はそれをしなかった。
リンが大事だ。
本当なら応援してやりたい。
でも言えなかった。
……心の底では……二人はもう交わる必要はないと、思ったんだ。
「……クラピカ」
「……なんだ?」
「俺はアンタの背中を押したりしない」
「………」
「応えたくないなら俺がアイツ、守ってくよ」
リンの想いなんか、叶わなくていい。
俺が守っていく。
嘘じゃない。
でも。
「でも覚えといてよ。
……あんなやつ、もうきっと現れないぜ。アンタがあいつを受け入れなくても、きっとあいつはずっとアンタを想ってる」
クラピカの視線は、もうとっくに別の場所へと移されていた。
でも聞こえてるって、わかってる。
「応えないなら、できるだけリンを傷付けないようにケジメつけてくれよ。
それと……一応アンタにも後悔して欲しくないし」
最後の一言に、クラピカがやっと顔を上げた。
目を合わせた。
「……終わり。もう何も口出ししないよ。
悪かったな、色々」
「いや……」
"ありがとう"
去り際、背中に小さくよこされたその言葉を
聞こえない振りをして、部屋を出た。
パタン。扉を閉めてから。
「……俺の気持ちもバレたかな……」
後悔
自分がしてたりしてな。
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