覚醒の後(12歳、キルア視点のハンター試験中)
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二人は同時に俺に注目する。
裏表のない真っすぐな眼差しが痛い。
「お前はリンをどう思ってんだよ?お前ら試験も一緒に受けに来たんだろ?
1番付き合いも長いじゃねーか」
いきなり核心を突くような質問を、何の他意もなくぶつけてくるから侮れない。
「はぁ?別に。一緒に会場に来たのだって、直前にたまたま知り合っただけだし」
「でも1番仲いいよね」
「そうでもねーって。だいたいリンが好きなのはクラピカなんだぜ?
ここで俺らがリンをどう思うか議論したって意味ねーだろ」
「まぁ……確かにそうだけどよ」
ちょっとつまらなそうに、レオリオは追及を終わらせる。
―――気付かれる訳にはいかない。
自分でさえ気付いたばかりなんだ。
まだ誰にも知られたくない。
知られたからといって廃れる訳でも色褪せる訳でもないのに、不思議な感情だけど。
「なんかお腹空いたね」
「おう。軽く何か食うか?」
ぐ~………
ゴンの腹の音に、レオリオもつられて腹をさする。
「キルアはどうする?」
「あー、俺はいいや。行ってこいよ」
「うん、じゃあまた後でね」
「おう」
休憩所に向かう二人を見送り、俺は一人、踵を返した。
そして自分でもびっくりするくらい足早に、来た道を戻った。
通路には受験生達がまばらに座り込んだり外を眺めたりたむろったり
それらをかい潜り、向かう先は二人のいる部屋。
二人きり、残してきた部屋。
「……ったく……なんなんだっつーの」
イライラするほど気になるのは、リンが大事な仲間だからだ。
1番俺がリンを理解してるからだ。
傷付いてないか心配なだけだ。
……そうやってごまかしてやり過ごせたら、どんなによかったか。
息を殺し、気配を消して
二人がいる部屋の前
ほんの小さく深呼吸
「リン……」
部屋の中から、クラピカの掠れた声が漏れた。
瞬間、よくわからない不安に駆られ、俺は反射的にドアを開けた。
「リンっ……」
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