聖なる夜の…ー後編ー
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熱いとも冷たいともない、きっと同じ温度の唇。
我に返ると、ものの2~3センチの距離にいるクラピカの顔が、もの凄く不機嫌そうにしかめられていて。
『…く…クラピカ』
「もういいか?」
『え?』
「攻守交代しても」
『えっ…』
両手首をしかと掴まれ、その力強さに馬鹿みたいにキュンとくる。
でもまだダメだ。
まだ主導権を維持していなければ。
『も、もうちょっと』
「駄目だ」
『私っ!!クラピカを……ドキドキさせたいっ……もっとときめかせたいー!!』
「これ以上は許さない」
両肩を、力強く、優しく
抱きしめるでもなく、掌の温もりで包み込むクラピカ。
「我慢も限界だ」
苛立ちが滲む声でそれだけ言い放つと、クラピカはリンの体を強く強く抱きしめた。
濡れた肌と肌が触れ合う感触が、今までになく新鮮で
何やら禁忌に触れたような罪悪感さえ感じる。
『…っ…クラピカ…』
「もう二度とこんな私は見せない。お前だけ、ずっと私に夢中になっていればいい」
いちいち殺し文句だと、気付かないのだろうか。
クラピカは天然が一番怖い。
計算でなく、人を魅せる。
『クラピカ……満足させたいのにっ…』
息もやっとの抱擁に、細々と紡がれたリンの声に
クラピカは困ったように、でも嬉しそうに笑った。
「もう充分、貰ったよ。だから今度は私がお前に私のやりたい事をさせて欲しい」
そう言って、クラピカはリンの体を反転して後ろを向かせ、髪を洗い始めた。
優しい手つきでマッサージをするように。
たっぷりの泡が顔に垂れてしまわないよう、十分に気をつけて。
流す時も、撫でるように梳きながら泡を落として。
『……ありがとう』
「どういたしまして」
なんだか心がくすぐったい。
リンは何故か少し泣きたい気持ちになった。
温かすぎて、嬉しすぎて…。
『……好きすぎてやだ……』
「そうやって可愛い事を言うのも計算か?」
『違うよ!!ホントに本気でクラピカを好きすぎて!』
振り返りざまに、口を塞ぐかのようにまたキスをされる。
触れるだけの小さなキスだと思ったら、どちらとも離れる気配はなくて。
『……っンむっ』
深くなる。途方もなく。
もっともっと。
欲しくなる。
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