春の向日葵
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「……リン!?お前、何故ここに……」
こんなに動揺する姿を見るのは久しぶりで、思わず笑っていると、クラピカはポカンと呆気に取られたようにリンを見つめていた。
そして手に持った一輪の向日葵に目をやり、表情を沈ませた。
「……すまなかった、リン。旅行が決まってあんなに喜んでいたのに……結局仕事を抜けられずに……」
『ううん……私も……クラピカの事わかってたはずなのに、あんな酷い事言ってごめんなさい……』
「お前は何も悪くない。せめてプレゼントを買って帰ろうと色々捜したのだが……結局こんなものしか……」
そう言って俯くクラピカの手をそっと取り、リンはとても幸せそうに微笑んだ。
『……私ね、ホントはプレゼントなんてなくてもよかったんだ。
でも……今日ね、街でクラピカ見つけて、怒られるかもしんないけど実はずっと尾行てたんだ。
……私の為って、すぐわかった。
たくさんたくさん、悩んで考えてくれて……疲れてるはずなのに、私の為に必死で探してくれて……』
「こんな事はなんでもない。疲れてもいない。
ただ、私はお前の欲しい物すら知らないんだと……思い知らされた」
『そりゃそうだよ。街には売ってないものだもん』
「え?」
『クラピカだけだもん!』
リンはクラピカの胸に思い切り飛び込んだ。
避けて通る人の波など気にせず、クラピカの背中に手を回して、力いっぱい抱きしめた。が。
「おい、リン……」
クラピカの方はそうはいかない。
体裁が物凄く気になっている様子。
「リン、往来だぞ。こんなところで……」
『いいの!誕生日だもん!私の欲しいもの貰うんだもんっ!』
「……馬鹿だな……」
ふぅ、とひとつ息を吐き、クラピカはゆっくり、ゆっくりとリンの頭を撫でた。
「もうとっくに……」
言う必要もない。
そう、言葉じゃない。
『時間も全部……いつか、頂戴ね。
いつか……一瞬も離れないような毎日を頂戴ね』
「……約束する。いつか必ず」
『うん!じゃあそれまでずっと待ってる!
クラピカを毎日待ってるから!』
どんなに遠い未来でも、今は疑わずに信じられる
あなたがくれたその約束こそが、この上ないプレゼントだから――――
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