春の向日葵
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『クラピカのバカッ!バカバカ!!』
直で繋がった留守番電話サービスに、リンは腹の底から力を込めて叫んだ。
そして意味はないけれど思いっきり乱暴に通話終了のボタンを押して、側にあったソファーに投げつけた。
テーブルでおやつを採っていたルビーは、いきなりの母の豹変振りに凍りついている。
「おいリン、どうかしたのか?」
『あ、キルア……』
はぁっ、はぁっ、はぁっ
予想以上に興奮状態にあるリンに、たまたまやってきたキルアは少し引き気味だ。
「あ、そーいやお前、昨日誕生日だっただろ?
貰いもんだけどコレ、美味かったからやるよ」
小さな洋菓子の包みをリンに投げると、パシッと受け取るや否やリンは走り出した。
『ありがとうキルア!ついでにルビーお願い!』
「はっ?お前は?どこ行くんだよ!」
『クラピカが帰って来たら "泣きながら出て行った "って伝えて!』
「いや意味わかんねーし!なんでだよ!?」
『約束破ったからだよ!もー怒ったんだから私!怒ったら恐いってこと、思い知らせてやるんだから!!(怒)』
「待てってリン!俺今から用事が………」
相変わらずの足の速さ。数秒後にはリンのいた場所にヒュルリと風だけが吹いていた。
「キルア~~~、お母さんに何あげたのー?
あたしも食べたいお菓子~」
「え?あ、ああ……もちろんルビーにも持って来てるに決まってるだろ。ほら、たくさん」
「わ~~~~い!!」
無邪気に万歳をして喜ぶルビー。
母のそんなこんなはもうとっくに慣れっこであった。
『ちっくしょー!クラピカってばクラピカってば!今年だけは一緒にお祝いしたかったのに!
プロポーズしてくれた誕生日からちょうど20年目なのに!』
向かう宛てなどないので、とりあえず無駄に全速力で街に向かう。
本当なら今頃、旅行先の湖が見える緑いっぱいのコテージで、家族三人のんびり過ごしているはずだった。
ところが、出発を予定していた日にクラピカは帰って来なかった。
絶対に仕事を入れないと言っていたのに
いつも忙くて、毎年誕生日を一緒に祝えなかったのに
「今年はお前の望む事、何でも叶えてやる」
そう言ってくれたのに
連絡もなくブッチ!!
『わぁぁぁん!!クラピカのばか!!ばかーっ!!』
グジグジと泣きながら街角のモダンなカフェに入ろうとした、その時。
『……………ん?』
人込みの中に、彼の姿を見つけた。
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