彼氏・キルア・24時ー前編ー
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強いのに儚げで、透き通るような青い瞳。
見つめられると逸らせない。
『キルア……』
ポタリ、キルアの指に涙の雫が落ちた。
その瞬間、リンの体はキルアの温もりの中に収められた。
息が止まるかと思うような、優しい抱擁。
『キルア……』
「今日は振り回して悪かった」
耳元に息がかかる。
リンは慌てて首を横に振った。
「このまま聞いて欲しいんだけどさ」
リンの胸がドクンと高鳴る。
何を言われるんだろう
クラピカに対しての罪悪感が先立って押し寄せる。
でも
振り払えない
リンは腕の中でギュッと目を閉じた。
「俺さ、今度結婚するんだ」
『……………え?』
そう言って、キルアがゆっくりリンの体を放す。
再びぶつかり合う視線。
『結婚……て……』
「家を継がない変わりに親が選んだ相手と結婚しろってさ。
相手は流星街から送られてくる。ウチの一員として仕事に参加するらしい」
『え…え…え…』
いきなりの事にただ戸惑うリン。
キルアは眉を下げながら微笑んでいる。
「酔った席での適当な約束を今更言って悪かったな。しかも妊娠中で体もきついのにさ。
でも、もう今しかねぇなって思って」
『結婚……するの?』
放心したような様子で尋ねるリン。
「まぁ……親不孝して来たし、嫁が俺の代わりに仕事してくれるらしいし。
孫が生まれたら仕事をするかどうかは本人に選ばせるって条件はつけたけど」
『本気?』
「ああ、だからさ…今日はどうしてもリンに会って渡したい物があった」
『え………』
キルアはポケットから小さな箱を取り出し、リンの前に差し出した。
「俺の人生、最初で最後」
『これ………』
渡された箱を、震える手で開けてみる。
まさか、と思ったそれだった。
控えめなデザインに、ダイヤモンドが映えるプラチナのリング。
サイズは9号。
リンの指にピッタリはまるであろう、それだった。
キルアは小さく微笑んでいた。
それは覚悟を決める為に、必要な儀式。
世界で1番、人生で1番大切な人にさよならをする為の――――――
「リン、クラピカと別れて俺と結婚して欲しい」
例え結果が決まっていたとしても
この想いを断ち切る為に
必要な儀式だったのだ。
~続く~