無償の愛
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『きゃ~いらっしゃい!
よく来たねっ!』
うわ…マジでイラつくくらい幸せそうな顔…
(退院したばっかなのにちょっと太ったようにも見える…)
機嫌の良さそうなリンの笑顔のお出迎えにキルアは眉をしかめたが、いかんいかんと首を振って気持ちを切り変えた。
「よっ、元気そーじゃん」
「お邪魔しまーす!!」
『さぁさ、どーぞどーぞ!』
リンが二人を家の中へ誘い、ソファに座るように促した。
キッチンでコップにコーラを注ぎ、盆に乗せて運んでくる。
それを二人に「どーぞ」と出すと、口をつけるまでニヤニヤしながら見つめている。
「「???」」
不思議に思いながらもキルアとゴンは出されたコーラを口に含んだ。
…その時だった。
リンは声を大にして唐突に言った。
史上最高に黒い笑みで、正にしてやったりな顔をしながら………
『あのね私、クラピカと結婚したんだ!!』
……それを聞いた瞬間、確かに俺の頭の上に巨大な岩がガ─────ンと落ちてきた。
喉を通りかけていたコーラがとっさに気管に入り、豪快に吹き出してしまった。
息ができずにむせ返り、咳き込みながら苦しんでいる俺を見て、リンが爆笑しながら腹を抱えて大喜びしている。
が、俺の心中はそれどころではない。
" 結婚 " ………!?
―──確かに俺はリンを応援してきたし、幸せになってくれんならそれでいいって思ってたけど
それは本当は違った。
そう思い込もうとしてただけなんだ。
頭がガンガンする。
喉の奥から何かが込み上げてきて、胸が酷く痛い。
嬉しそうに笑うリンを見て本気で憎たらしくなった。
マジかよ───
冗談だって言ってくれよ………
ゴンが電話をしに外へ出てる隙にリンと二人で少ししゃべった。
ホント、色々話したいのに全然言葉が浮かんでこなくて最初は沈黙が続いた。
リンとクラピカが結婚………
そりゃ好き同士で法律上も問題なければそうなってもおかしくはない。
だけど………
初めて会った時はあんなに男勝りでガキだったのに(いや、今も大して変わってねーか)
やっぱ久々に会うとだいぶ綺麗になってて、クラピカとの半年間がリンにとっていかに素晴らしいものだったかを伺わせる。
「今幸せ?」
やっと出てきた言葉は、この上ない愚問だった。
顔見りゃわかるっつに…
自分で自分を貶めてどーする!
『当たり前でしょ?多分世界一幸せだよ!』
…答えは案の定。
わかっていたのにグサッと胸に突き刺さる。
こいつ、俺の気持ち知ってるはずなのに遠慮ってもんを知らねーのかよ。
くそ…
こうなったらもう訊いてやる!
今更失うもんは一個もねえ!!
「もしクラピカより先に出会ってたら…何か変わってた?」
その時のリンの表情───
あからさまに衝撃受けて固まってやんの。
あはは、ザマ見ろ。
……だけどリンはその後黙ってかなり真剣に考えてた。
「もしもあの時ああだったら」を必死にイメージしながら答えを探しているようだった。
そして暫くしてからゆっくり上げた顔は、清々しく晴れやかだった。
『もしもこの世界にクラピカがいなかったら、きっとキルアを好きになってたよ』
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