彼氏・キルア・24時ー前編ー
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「どーぞ」
キルアの四駆の大きな車に、キルアのエスコートで乗り込む。
『ねーどこ行くの?』
「川」
『かっ………!?』
こ、こんな朝もはよから叩き起こしといて、川だと!?
迷わず即答のキルアを、リンが怪訝な眼差しで見つめる。
『なんで!?』
「まだ店どこも開いてねーし」
『いや、そんな問題でなくて!』
「んじゃ今日のプラン説明すっから」
しょ~がね~な~、と勿体つけるキルアに、リンは軽くイラッとする。
「まず川に行って魚釣って…あ、夕飯の材料ねコレ。
お前ん家で捌いて俺が料理するから。
んで店開く時間になったら買い物。
お前の服とか赤ん坊の服とか、よかったら俺のも見繕ってよ。
昼時になったら今日は自然食バイキング予約してあるから好きなだけ食って。
あとはお前の体もキツイだろうし、家帰ってまったり。
って感じの流れ予定中」
話しながらも車は山へと向かって走り続ける。
本当に川に行く気だ。
てかキルアがこんなにマメに計画立ててデートする人だったとは意外だ。
『てか釣り!?私すっごい上手いよ!泳いでる魚、素手で掴めるし!』
「へー、じゃ対決しようぜ。俺が勝ったら子供の名前は俺がつける」
『いやいやいやいや!!そんな馬鹿な!!』
「お前なら勝てるって!」
『それ冗談?本気!?』
慌てるリンを尻目にキルアはケラケラ笑っている。
とにかく機嫌がいい。
「とりあえずさ、今日は楽しんでよ。今日だけは俺の彼女、OK?」
『彼女…他の人の子を身篭ってる彼女ってどうなの?』
「だーかーら!その子供も今日の設定では俺の子!
つか水差すような事言うなよな(怒)」
『設定って…最初に台本配って下さい……』
なかなかマイペースすぎるキルアに、リンは早くも呆れ気味。
ふと、自分の膝に置いていた手にキルアの右手が重なった。
『あの~……』
「彼氏なんで」
うわぁ……本気で言ってんの!?
ヤバイ……キルアとこんなんは初めてだ……
手くらい繋いだ事あるのに
き、緊張するのは何故?
「顔赤いぜ。もしかして意識してんの?」
『まままさかっ!!』
だいぶ山道を登って、着いた所は水の澄みきった綺麗な川。
夏の初めとはいえ、少し肌寒い位だ。
だが……
『わぁーっ!!川きれーっ!!キルア、見て見て!魚めっちゃ泳いでる!足つけちゃっていいよね?
あ~着替え持ってくればよかったぁ~!!』
リンは急いで車を下りると、なんだかんだと一人でしゃべりながら川にバシャバシャと入っていった。
キルアはその予想外のはしゃぎ振りに、嬉しくて頬が緩んだ。
『ねー何やってんの?早くバケツー!』
早くも両手に一匹ずつ捕らえた魚を持って、リンが戻って来た。
「マジかよ。早くね?」
『対決なんでしょ?あ、キルアは釣竿でやってね、電気の反応のやつ使われたら勝ち目ないし。ちなみに私が勝ったらキルアの車ちょーだい』
「おまっ……川入って5秒で二匹捕まえる奴に竿で勝てるわけねーだろ!」
しかも車って!!これ何気にレア車なんだぞ(汗)
『あはははっ!うそうそ!キルア可愛い!』
パァッと太陽のように笑って、リンはまた川の中に入って行った。
「ちくしょー…結局ガキの頃のまんまだし」
キルアはリンの背中を見つめながら、チクッと痛む胸を撫でた。
今更だと、自分でも思う。
『キルアキルア、バケツ~!』
「ああ!」
結局二人で一緒に川に入り、共闘しながら15分程でバケツを埋めた。
どう考えても食べ切れないと言ってリンが逃がそうとしたが、キルアは食べ切れると言ってそれを止めた。
『あー楽しかった!昔は師匠とよく川に来たんだよ!キルアも流石に上手いね!』
濡れた裾を乾かす為に、川辺で休憩する二人。
白くて丸い川石の上に並んで腰を下ろすと、リンはふぅ~っと溜め息を吐いてお腹を摩った。
「大丈夫かよ。きつい?」
『ううん、疲れやすいだけ。休み休みならいつも問題ないよ』
「でも顔色……」
頬に少しかかった髪をよけて、そっと触れる指。
思わずリンの心臓が跳ねる。
『だ、大丈夫だよ!』
その時、咄嗟にキルアの手を跳ね退けてしまった。
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