君と共に(リク)
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あれから
もうすぐ15年が過ぎようとしている
「父さん、ちょっと手合わせしてくれないか?」
無事に生まれ大きく成長した息子のラタル。
あの時リンの腹にいて私達を悩ませた愛しい存在は、今年ハンター試験に合格した。
リビングのソファーで本を読んでいた私に遠慮がちに声をかける。
「ああ、念込みの手合わせか?」
「いや、無しでいい。
こっちに帰って来るとつい怠けて体が鈍ってる気がして」
首や腕を鳴らしながら、生意気そうな仕草で話すラタル。
「そうか。確かにあれではな」
「ああ…あれじゃ、な」
二人で笑い合いながら庭に向かう。
すると
『ずーるーいーよー!!私も行く!!私もやるー!!』
家中に高らかに響き渡る声に案の定、引き止められた。
「お前はまだ修業中だろう?ラタルの相手は早い」
「そうだ。まだビスケに及第点を貰えてないだろう」
『大丈夫だもん、もうちょっとだもん!!
てかもうちょっとで私も試験だし、私の為にも手合わせしてよ!!』
「「………」」
ラタルと二人、顔を見合わせながら無言の"どうする?"という打ち合わせ。
返事を急いてくるリンに、私達は撒く事を決め走り出した。
『あっ、あ――――!!?ちょっ……待ってよ!!!』
大慌てで追い掛けてくるリン。
「すまない、俺パス!」
「私もだ!」
笑いながら家の裏手の森へと逃げ込む。
リンの怒声がこだまし、鳥達が一斉に空へと飛び出していった。
あの頃の私は、随分と幸せを恐れていた。
幸せはいつか必ず、この手から摺り抜けていくものなのだと
何故か確信していたな。
だが、あの頃に見えなかった未来には
こんなに温かい日々が待っていたんだ。
そして
君はいた。
私の
私達のすぐ傍に、今も。
私はもう、何も恐れない。
何も恐くない―――――
「あはははっ!何とか撒いたな!」
「ああ…可哀相だが仕方ない。」
手合わせでも、お前に手を上げるなんて
私達にとっては敵わないんだ。
「さぁラタル、お前の明日はお前のものだ。
何も恐れずに進め!」
「ああ!行くぞ、父さん!」
未来に待つ出会いと幸せを信じて
私達はまた新たな道を歩んでいく。
そう
いつまでも、君と共に。
END.
→後書き