ラタルの恋物語2
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「凄くはない。ハンターだって普通の人間だ」
ラタルは夜の校庭を歩き出し、小学生用の小さなアスレチックで遊ぶ。
「……試験って七ヶ月もあるの?あ、研修か何か?」
「研修なんてない。試験は二週間で終わったんだが、その後に色々と修行してたんだ」
「修行?滝に打たれたり?」
「ははっ、違う。
殺し屋の家で何トンもある扉を開けたり、誰かと試合して高い塔の200階を目指したり……。
自分を鍛える為に必死だった」
話しながら、ラタルは鉄棒を片手で回った。
「凄いね……」
「普通だよ。世界にはもっと凄い奴らが山ほどいる」
世界――――――
まだ14歳なのに、ラタルくんは世界を見てる
ハンターなんてとんでもないものになって
一体、その先に何を見てるの………?
「ラタルくんはハンターになって何をしたいの?」
「世界中を旅したい。
この目と手が届く人達を助けたい。
自分の力を試したい。
……ってとこだな」
「じゃあまた居なくなるんだね」
タイヤ跳びの上を跳ねて渡りながら、ラタルは四つ目のタイヤの上で立ち止まり、振り返った。
「……待っていて欲しい」
「勝手すぎるよ」
「それでも待っていてくれ。いつも君の事を想ってる。必ず帰る場所はここだ」
「いつ帰ってくるかわかんないじゃない!
また何ヶ月も連絡取れなくて長い間待たされるなんて嫌だよ!
私が今までどんな気持ちだったか…わかってないよ、ラタルくん……」
溢れる涙が新月の夜に照らされる事なく落ちていく。
ダリアの想いを含んで地面に吸い込まれ消えていく。
「今回はどうしても自分で納得できるまで君とは話せなかった。
でもこれからは必ず連絡する。
淋しい想いをさせないよう努力する」
「無理だよ!会えないのに淋しくないわけない!」
「それでも君じゃなきゃ駄目なんだ!」
ラタルが叫んだ言葉に、ダリアはハッと顔を上げた。
高みにあるラタルの顔は遠くからの光で少ししか表情が読めない。
「君じゃなきゃ駄目だ。どうしても好きなんだ。
だから……待っていて欲しい。
俺を信じていて欲しい」
乗っていた三日月タイヤを降りてラタルはダリアの傍へ歩み寄る。
涙が喉を塞いで声が出ない。
これから辛い事がきっと山ほどあるというのに
嬉しくて、まるで夢を見ているようで……
「いつか君の待つ家に帰りたい。
まだ早過ぎるけど、俺はダリアをそう思うほど好きだ」
どんな未来予想図にも君を当てはめる。
君以外、有り得ない。
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