対峙
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クラピカと蜘蛛の一人は、街から離れた荒野へとやってきた。
リンは念で脚力を強化し、高い崖の上へ飛び上がって二人に見えないよう身を屈めた。
何とか気付かれていない様子。
暫く何やら会話した後、二人は戦闘体勢を取り始めた。
二人の体から強いオーラが放たれてる。
リンは崖の上に身を潜め、様子を窺った。
先に攻撃したのは蜘蛛の方だった。
凄まじい闘いが始まり、クラピカは鎖での攻撃をかわされ、まず相手からの打撃を喰らった。
リンは声を出しそうになりながらも何とか抑え、目を逸らさずに闘いを見守る。
クラピカは負けない!
絶対大丈夫!
私と…約束したんだから…!
明らかに強化系らしき相手の大男が、とんでもない威力ながら体ひとつで向かってくるのに対し、鎖で翻弄しながら隙を突いて、上手く攻撃をヒットさせているクラピカの方が優勢のように見えた。
クラピカの素早さに、敵はついてこれていない。
攻撃が効いているかはわからないが、かなり怒っているようだ。
とうとう本気全開のオーラを爆発させ、クラピカに強烈なパンチを浴びせてきた。
その凄まじい威力に空へ吹っ飛ばされたクラピカだが、途中でピタリと体が止まった。
リンは凝を使い、クラピカの手から出た鎖が、敵の体を捕えているのを見た。
『!!―――やった!!』
リンはそれが闘いの終わりを告げる状況だと思い、安心して下へ下りた。
しかし、二人の言葉のやりとりはまだ交されていて、もうしばらく様子を見ようと岩影に隠れた。
クラピカは短い会話の後に、今度は捕えた敵の体を直接自分の拳で殴り始めた。
リンは驚き、初めて見るその恐ろしい程冷たいクラピカの表情に、体が動かなくなってしまった。
クラピカは何度も相手の体に拳を埋めた。
そして叫んだ。
何と言っているかは聞こえないが、遠目でもわかる、その悲痛な表情…
…もういい、もういいよ、クラピカ…
本当は誰より心優しいクラピカが、敵とはいえ、こんな風に誰かを痛めつけて平気なはずがない。
それを思うと、リンは張り裂けそうに胸が痛んだ。
クラピカはもう一本の鎖を取りだし、敵の心臓へと突き刺した。
───!!
あれは…戒めの楔!!
仕事を始める前に教えてくれた、クラピカの能力のひとつ…
相手の心臓に刺し、相手がクラピカとの約束を破れば即座に鎖が心臓を潰すというものだ。
鎖を刺された敵は、それでも全く戸惑う様子は見られない。
その表情には微塵も迷いはなく、とうに覚悟など決まっている様子だ。
敵には屈しない。
仲間を裏切る事などない。
それを悟ったクラピカは、それでも相手に最後の質問する。
―――やばい!!
クラピカが、あいつを殺す!!
それは、クラピカがずっと望んできた事なのかも知れない
だけど………!!
楔を撃ち込まれた敵は、最期に不適な笑みを浮かべて答えた。
「くたばれ。バカが」
それが合図となり、鎖が敵の心臓を締め付けた。
―――ズギュルッ!!
瞬間、リンは走り出していた。
全身のオーラを足に集めて、風よりも早くその場に現れた。
そう
敵の心臓を巻き付ける、クラピカの鎖よりも早く…
ドシュッ…――――
口から血を吐き出し
敵がゆっくりと力を失い、地面に崩れ落ちた。
そして――――
「何故……」
~続く~