対峙
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夜通し待って、クラピカからようやく電話があったのは、既に明け方だった。
「リン、すまなかった。電話を取れなくて」
『クラピカ…よかった、無事だったんだ!何より、何より』
何かあったのかと心配で眠れなかったリンは、いつもと変わらないクラピカの落ち着いた声を聞いてホッとした。
何だかすごく久しぶりのように感じる。
『私は今、シティホテルに泊まってるんだ。綺麗なとこだし楽しいよ』
「シティホテル!?本当か?私も今、そこにいる」
『えーっ!ホント!?』
リンは思いがけないサプライズに大喜びして、部屋の番号を尋ねた。
しかし……
「駄目だ。来るな。
ここには多分、もうすぐ蜘蛛の一人が来る。
お前は絶対に部屋から出るな」
『は!?どういう事?
何でいきなりそんな事になるわけ!!?』
クラピカは、連絡が取れなかった間に何が起こっていたのか、リンに全て説明した。
『ちょっ…、事情はわかったけど、たった一人でそいつと闘うなんてやめてよ!!クラピカに何かあったら私、どうするの!』
リンは必死で説得する。
『嫌だよ!お願いだから今回は引いて!無茶したら許さないから!!』
「…すまない」
そう一言謝って、クラピカはプツッと電話を切ってしまった。
その酷薄な対応に、リンは初めてと言っていいほどクラピカに怒りを覚え、電話を掛けなおした。
意外にも電話は繋がった。
「…なんだ?」
『一瞬で帰る。部屋を教えて』
「来てどうする?」
『面と向かって一言、言いたい事があるの。
一生のお願い』
いつになく冷静で真剣な声。
仕方なくクラピカは自分がリンの部屋へ行く事で了承した。
間もなく、部屋のインターホンが鳴り、クラピカがやって来た。
リンはドアを開けるなりクラピカの腕を掴み、そのまま部屋に強引に引き入れ、ドアを閉めた。
「何だ?用があるなら短めに頼む。奴があの部屋に来てしまう」
そんなクラピカの言葉に、俯いて感情を抑えていたリンが勢いよく顔を上げた。
『クラピカ!!これはクラピカ自身の問題だから、本当ならやめろなんて言えない。
クラピカの大切な使命を全うする邪魔はしたくない。
…けどさ、忘れないでよ…私の事、忘れないでよ!!』
リンは大粒の涙を溢してクラピカに怒鳴り散らした。
『クラピカに"もしも"があったら、クラピカがいなくなったら、私はどうなるの?!
何を思って生きればいーの!!
クラピカが昔見た地獄の世界を、私に絶対見せないで!
私はクラピカがいない世界には生きられない!!
それだけは何があっても覚えてて!
さっきみたいに「すまない」の一言で済ませたり…しないでよ…っ』
そこまで言うと、リンはクラピカの足元に泣き崩れてしまった。
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