修行とバイト
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リンは少しの間修行を見守った後、こっそり引き返して山を降りていった。
その事にクラピカの師匠は気付いていたが、敢えて何も言わなかった。
(…全く…いきなり絶使ったって遅いだろうが)
クラピカの師匠はふっと笑った。
リンはクラピカの必死の表情を目に焼き付け、自分も今自分にできる事を全力でやろうと決意した。
その日から毎日、梺の喫茶店で働き、休みの日には必ず山を登って二人の様子を見に行った。
念の修行が進むに連れて、リンがたまに来ている事にクラピカも気付き始めたが、師匠と同様、何も言わずに知らない振りをしていた。
そうやって日々を送り、五ヶ月が過ぎた。
仕事の休憩時間に、リンは風にあたりに外へ出ていた。
今日は天気もいい。
雲一つない青い空。
クラピカ…頑張ってるかなぁ…
リンは天を仰いで目を閉じた。
頬を撫でる風が気持ちいい。そのまま木々のざわめきを心地よく聞きながら、佇んでいた。
その時。
「リン」
不意に後ろから聞こえた、名前を呼ぶ声。
誰のものかなんて、すぐにわかった。
…でも、まさか、
こんなに早く……?
ゆっくりと後ろを振り返るリン。
そこには、以前より髪が長くなり、少し背も伸びて、どことなく大人びたクラピカの姿があった。
落ち着きのある穏やかなオーラ…
リンは言葉も出ないまま、クラピカに見入っていた。
「ここで働いていたんだな。制服、似合っている」
優しく微笑み、静かにこちらへと歩み寄るクラピカ。
『…早かった…ね。
も、もう大丈夫なの?』
「まだ遅い方が良かったか?」
『ううん…早くて嬉しい!もう一人にしないでね!』
リンはクラピカに駆け寄り、思い切りその胸に飛び込んだ。
『…念修行お疲れ様。
そして、習得おめでとう…』
リンは涙声で言った。
クラピカはリンを抱き、髪を撫でながら目を閉じた。
「リンのお陰だ…
本当にありがとう」
二人は微笑み合って再会を噛み締めた。
こうして念能力を得たクラピカは、再び斡旋所を訪れ、望み通り雇い主を紹介してもらう事ができた。
『良かったね、クラピカ!とうとう仕事が始まるね!』
「これからが本番だ。
絶対に同胞の眼を集め、蜘蛛を全員捕えてやる」
クラピカの瞳は、どこか遠く、違う世界を映していた。
捕えてやる
幻影旅団
蜘蛛
あの苦しみを
同胞の無念を決して忘れはしない
何を犠牲にしてでも
貴様らを必ず……!
そんなクラピカを見てリンは不安になり、クラピカの腕にギュッとしがみついた。
そして
いよいよオークションまで後一ヶ月を切った。
~続く~