別離
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とうとう、さよならの時がやってきた。
レオリオは故郷へ帰り、医大を受ける為、勉強に励むらしい。
キルアとゴンは二人で旅へ出る。
そしてクラピカは、これからハンターとして正式に仕事を探す。
「ゴン、オークションまであと半年以上あるが、ヨークシンでヒソカを見つけたら連絡する」
「わかった!ありがと」
「そんじゃあ、またな」
「次はヨークシンで!」
そう約束して、皆はそれぞれの道を歩き始めた。
『またね!ゴン、キルア、レオリオ!またねーっ!!』
これが最後ではないけれど、やっぱり寂しい。
けれど、これからは一人じゃない。
リンとクラピカは、二人並んで同じ道を行く。
ずっと一緒だ。
ふと、半歩先を歩いていたクラピカが立ち止まり、リンの方を振り返った。
『何?どーかした?』
キョトンとするリンに、しばらく黙っていたクラピカは、意を決した様な表情で話し始めた。
「……リン。
私はこの先、仲間の眼を集める為、旅団を捕える為、使命を果たす為に生きていく。
自ら危険に身を置く事もあるだろうし、心配もかけてしまうだろう。
リンの望むような生活をさせてやれるか、自信もない。
私の傍にいても、お前にとっては辛い事の方が多いかも知れない」
クラピカの話を聞きながら、リンはだんだんと不安になっていった。
『な、何……?ちゃんと言ってよ。どういう意味?どういう事?』
声が震える。
心臓の音がうるさい位、耳に大きく響いている。
嫌な予感が体中を巡る。
嫌だ…私…クラピカと離れなきゃなんないの……?
「お前が私の傍にいてくれたら、どんなにいいかと思う。
だが、一緒に来てもお前が後悔する日が来るかも知れない。その時に、私はお前が幸せになれる道へ、お前を送り出せる自信がない」
『……か、簡潔に……話してくれるかな?』
長い前置きに、リンの心臓は不安で耐えられなくなってきた。
クラピカは視線をどこか景色の方へ向け、静かな口調で言葉を続けた。
「私の目標は、使命は、これからも変わる事はない。その為にハンターにもなった。人生の最優先はそれだと、今でも思っている。
……だが、できるだけ寂しい思いをさせないようにする。許される限り、リンの傍にいる。
幸せにするとは誓えないが、ずっとお前を想い続ける事だけは約束しよう。
…だから…私と一緒に来てくれるか?
覚悟を決めて、私の傍にいて欲しい」
リンは言葉の最後まで聞いて、ようやくクラピカが何を言わんとしているのかを理解した。
リンは安堵するのと同時に、さっきまでとは違う理由で体が震えてきた。
『えっ……、あのっ……それってさ、それって……
ぷろぽーず………?』
クラピカは一瞬ギョッとした表情をして何かを言おうと口を開いたが、ふと黙って考え込み、顔を上げた。
「……そうだな、そういう風に取ってもらっても構わない」
『!!!!!!!!』
リンにはその時、確かに教会の鐘の音が聞こえ、色とりどりの花が降ってくるのが見えた。
キラキラ…キラキラ…
ハッと気が付くと、パタパタと涙がこぼれている。
『ほっ……ホントに!?
クラピカ、本当に!?
私……クラピカのお嫁さんになれるの!?』
歓喜に満ち溢れたリンの姿に、クラピカは小さく吹き出した。
何事にも素直で、時々羨ましくなる。
全力で感情を表現する様が面白くて、クラピカはクスクス笑った。
「で、リンの返事を聞かせてもらいたいのだが?」
『う~……なる!絶対なります!私、クラピカの奥さんになりたい!!』
リンはクラピカに勢いよく抱きついて、大泣きしながら「嬉しい」だの「やったー」だのと叫んだ。
「お前から抱きつかれるのは久しぶりだな」
クラピカはリンの背中に手を回し、優しく抱き締めた。
クラピカの傍にいられる……
一生、クラピカの側で、クラピカを守って生きるんだ
私はクラピカの為に生きて、いつかクラピカの為に死のう―――
リンの胸に、今までよりも更に強い決意が生まれた。
~続く~