別離
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リンとクラピカは、暫くして一緒に皆の待つ執事室へ戻った。
玄関のドアを開けると、キルアが真っ先に出てきて、リンの頭をくしゃくしゃっと撫でた。
「おかえり!つーか、やっぱ泣いてるし!
お前マジ人生に何回泣く気だよ!」
キルアがいたずらな笑みを浮かべてリンをからかう。
『へ…へへ…まぁ、一日一回は出さなきゃ調子悪くてさ』
リンは消してきたつもりの涙の痕を突っ込まれ、バツが悪そうに頭を掻いた。
「キルア、リンが世話になったな。すまない」
クラピカが頭を下げる。
その丁寧な態度に、キルアは思わず「アンタに礼を言われる筋合いねーよ!」と本音をぶちまけてやりたくなったが…
リンの初めて見るくらい幸せそうな表情を見て、全てを理解した。
……何だ、こいつら何とかうまい事収まったんだな
キルアは目を閉じて二人に背を向け、執事室を誰より早く後にする。
よかった
これでよかった
寂しいけど、リンが幸せならそれが俺も一番嬉しいんだ……
『待ってよキルア!早いって、歩くの!』
キルアの後を追いかけ、リンは小走りで隣りに追い付いた。
クラピカ、ゴン、レオリオは、後ろから並んでゆっくり着いていく。
鼻歌まじりにスキップする、その柔らかな横顔を、眩しそうに見つめるキルア。
「…………」
『ねぇ、キルア。私ね、クラピカに傍にいてもいいって言われたよ』
―――知ってる
『……大事って、言ってくれたよ』
―――俺だってリンが大事だ
『ホント……全部全部、キルアのお陰だよね』
―――そんな事ない
『私はクラピカと……生きていきたい』
──…………
キルアの足が止まり、リンが二、三歩前へ出てから振り返る。
『キルア』
キルアはリンを見つめる。
リンもキルアを見つめる。
『ありがとう…キルア、ありがとう。
出会った時からキルアは私を支え続けてくれた。
私、キルアに会わなかったらどうなってたかな?
さっき、クラピカに会わないって私が言った時に、キルアが諭してくれなかったら、どうなってたかな?
キルアが、私の幸せを願ってるって言ってくれた時は本当に嬉しかった。
私もキルアの幸せを、一生願ってるよ』
涙を浮かべて微笑む姿が、何だか別人みたいに見えて
キルアは立ち止まったまま、深く俯いた。
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