キルアんち!
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その頃、リンは初めて通る慣れない町の中を、一人さ迷っていた。
まだ引かない高熱で、世界がユラユラ揺れている。
しかし、それでも急いで歩く、走るを繰り返す。
あぁ……ここからキルアの家まで……いや、せめて出会ったあの山の入り口まで行けたら……
しかし道……道がわからない
ただでさえ私、方向音痴なのに……
リンのそのフラフラの様子に、たまたま近くを通りかかった荷物運びのトラックのおじさんが声をかけてきた。
「へい、お嬢ちゃん、大丈夫かい?顔が真っ赤だしフラフラじゃねーか!
体調悪いなら家まで送ってってやるぞ?」
すごく親切な人だ。
いつもなら(逆に怪しいな~)と拒否する所だが、そんな気力もなく、
『よ……よし、おじさん、いい所に………
そんじゃあ、デントラの山の入り口まで……よろしく……』
「えぇっ!?そんな遠く!?そりゃついでにも通りゃしねーよ!」
おじさんは慌てて断ったが、リンは構わずトラックに乗り込んだ。
『もう……このままじゃ死ぬもん……お願い……』
おじさんはすごく困ってしまったが、リンがあまりに具合が悪そうなので、仕方なく諦め、送る事にした。
トラックでだいたい丸1日……
山越え、谷越え、田舎のガタガタ道に長いこと揺られながら
その標高三千メートル以上ある大きな山は、漸く見えてきた。
おじさんは寝ていたリンを起こし、
「なぁ、こんなとこでいいのかい?この辺りはゾルディックという有名な暗殺一家の敷地の近くだから、気を付けるんだぞ!」
すごく心配そうな顔で教えてくれた。
『ホントにホントにありがとう、おじさん。食べ物まで分けて貰ってホントに助かったよ。
何もあげる物なくてごめんね』
「子供が何、気を使ってんだ!いいから行きな!」
『おじさんも気を付けて』
旅は道連れ、世は情け……
はて、誰の言葉だったやら……
『うわ…ホントに来た…初めて会った所だぁ……』
嬉しくなってリンはうっすら微笑んでみたが、やはりまだかなり具合が悪い。
道ぞいにあった古くて汚れたベンチ(らしきもの)に腰を下ろしてうつむいた。
目を閉じても頭の中で何かがぐるぐる回っている。
何か……久々にヤバイ感じ
昔、風邪を引いた時は師匠がつきっきりで看病してくれたっけ
心細いな……
その時───
「………リン?」
聞き覚えのある声。
まさか……
でも……先に出たはずなのに……
あ、私がトラックで先に着いちゃったのかな……
そっか……
そっか……
荷物でも乗せられているように重い頭をゆっくり上げると
ほら…やっぱりね。
『……キルア……』
「何でお前がここにいんだよ……」
『会いに来たんだよ。
私達……仲間だもんね』
リンは精一杯力を振り絞って笑顔を作った。
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