キス
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私は何をしようと言うのだ……
絶対駄目だ!
これ以上、リンには近付かないと決めたはず……
クラピカは苦しそうな、悲しそうな、戸惑った表情をしている。
クラピカを見つめるリンの瞳にも、戸惑いが浮かんでいる。
涙に沈んだいつもの笑顔を、救い上げるにはどうすれば…
泣き顔なら何度も見てきたはずなのに、いつものように声を掛けてやる事ができない。
リンの涙がやけに綺麗で
濡れた瞳が一層強く光を放って
体が勝手に動くのを止められない
頬に添えられた震える指。
クラピカの綺麗な顔がゆっくり、ゆっくりと目の前まで近付いて、
リンの唇に、クラピカの冷たい唇が、そっと触れた。
その唇も、微かに震えていた。
リンは一瞬だけ目を閉じて、また大きく見開いた。
クラピカはまだ震えている。
迷いが
指から、唇から、伝わってくる。
リンは胸が締め付けられた。
『もう…いいよ…十分だよ……
これ以上、私、何一ついらない……』
涙が止まらない。
頬を包む震える手を、自分の手で包み込み、
そう言って目を閉じる。
クラピカの心はもう、止められないところまできていた。
リンを引き寄せ、もう一度、またもう一度、何度も何度も口づける。
それは世界で一番優しいキス。
リンは唇を重ねる度に、声を漏らして泣いていた。
クラピカはリンの体を優しく抱き締めた。
大切な、大切な宝物に触れるように、柔らかなキスをして。
クラピカ……あなたはどこまで優しいんだろう……
その優しさが嬉しいのに
息ができないほど苦しいよ
好きで、好きで、心が張り裂けそうだよ
神様
私をクラピカに出会わせてくれて、ありがとうございます
クラピカに出会えた事が
私にとって人生で一番の幸せだ
試験が終わって、離ればなれになって
この先もし生涯会う事がなかったとしても
クラピカの幸せだけを祈って私は生きていける
それだけで、もう生きていける
明日がある
リンはクラピカの腕の中で温もりを感じながら
これが最後なのだと噛み締めていた。
~続く~