キス
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「リン!大丈夫か!?ヒソカに何かされたのか!?」
リンの瞳は何も映していない。反応もない。
壁に背をついたまま、ズルズルとへたり込むリン。
「リン、しっかりしろ!」
一体、何があったのだ!
ヒソカはリンに何を言った?何をした?
クラピカを大きな不安が襲う。
その時、ゆっくりと上げられたリンの視線が、クラピカを捉えて揺れた。
『……………』
静かに、静かに、涙が溢れ出す。
―――そうだ……私、女の子だったんだ……
こういう目に遭うと、女の子って、無力なんだ……
リンは何も言わずに表情は虚ろのまま、ただ黙って涙を流した。
「何があったんだ!?言ってくれ!!」
必死に問い掛けるクラピカ。
ドクドクと不安に胸が早鳴り、額に汗が滲んでくる。
『私……クラピカには何も望まない……そう決めたけど……』
やっと絞り出された、呟くように小さな声。
『…やっぱり…初めてキスするのは…クラピカが良かった…っ……』
リンは両腕で顔を隠し、そう言ったきり声を上げて泣き出してしまった。
「………!」
リンが……
ヒソカとキス………
クラピカは言葉を失った。
ただ黙ってリンの目の前に立ち尽くすばかり。
リンの涙がとめどなく溢れて流れ、ぽたぽたと地面の色を変えてゆく。
クラピカの思考回路は遮断され、傷付いたリンの姿を、ただ見ている事しかできない。
リンに……
ヒソカが……
リンに最後の言葉を告げる為に、リンのすぐ目前まで来ていたクラピカ。
それなのにあっさりとさらわれて、結果リンをこんなに傷付けた…
私は…一体何なのだ……
あんな奴に、リンの心を汚されて……
リンとヒソカが……
考えるのも嫌だっ……
クラピカはリンの顔を覆っている両腕を掴み、そっと顔の前から下ろした。
リンの顔は涙でぐしゃぐしゃだ。
クラピカはその頬にそっと両手を添える。
小さく肩を揺らし、目を見開くリン。
頬に触れたクラピカの指が震えている。
そのまま、何も言わずに二人はただ見つめ合う。
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